地域計画策定の作業 着実に実践 宮崎 串間市農業委員会

 串間市は2024年度末までの地域計画の策定・公表に向け、作業を進めている。同市農業委員会(原田俊一会長、農業委員13人、農地利用最適化推進委員13人)では、市農業振興課と連携し、地域での話し合い活動や目標地図の素案づくりなどに鋭意取り組んでいる。

市・県・JAとの推進会議(みのさき地区・三ヶ平地区地域計画の協議)

 宮崎県の最南端に位置する串間市は、約2940㌶の農地を有し、冬が温暖な恵まれた気候を生かして、早期水稲や施設キュウリ、食用甘藷などの生産が盛んだ。
 その串間市で地域計画の策定が着実に進んでいる。地域計画は24年度末までの短期間で策定する必要があるため、23年5月に市や県、JAなど関係者で推進会議を開催し、推進体制や役割分担、スケジュールなどを決めた。
 地域計画のエリアは、実質化した人・農地プランをベースに48地区を設定し、農用地利用改善団体が存在する地区や多面的機能支払交付金などの実施地区を優先的に推進することとした。
 このうち22年度に先行モデルになったみのさき地区に加え、三ヶ平地区をモデル地区にし、耕作者を対象に説明会を実施した。
 説明会では地域計画の概要を説明するとともに、農業委員会で準備した地図を使って耕作者などを確認し、現況地図を作成。その後、今後の経営意向を把握するために行ったアンケートの結果をもとに、将来の農地利用の姿を話し合い、目標地図の素案を作成した。
 両地区の地域計画は23年11月に案の公告・縦覧を経た後、12月28日に本県では初となる公告を行った。現在は、これら2地区での取り組みを横展開しながら、他地区での検討を進めている。

現況地図を見ながら話し合う下弓田地区の参加者

 24年1月17日に開催した下弓田地区での話し合いでは、農用地利用改善団体メンバー10人が出席。離農意向者がいる一方、規模拡大を志向する経営体もいる調査結果を踏まえ、現況地図を見ながら農地とビニールハウスの承継を検討した。畦畔除去による農地の大区画化や排水対策、収益性の高い土地利用型作物の導入などについても意見を交わした。
 同地区の森通弘農業委員は「これまで遊休農地対策に重点的に取り組んだことで遊休農地の解消が進んだ。今回の地域計画では、守るべき農地と担い手が明確になり農地の集積・集約が期待される。市や県の協力を得ながら農地・農道などの基盤整備も検討し、効率の良い地域営農を作っていきたい」と意欲を語った。
 今後、地区全体の耕作者を参集した話し合いを行い、地域計画を完成させる予定だ。