モデル地区設定 目標地図素案が完成 高知・奈半利町農業委員会

奈半利町(なはりちょう)農業委員会(増岡正文会長、農業委員12人、農地利用最適化推進委員2人)は、町地域振興課と連携し、町内を5地区に分けて地域計画策定に取り組んでいる。このうち、モデル地区の「大原・西ノ平地区」では目標地図の素案が完成した。

今年3月に完成した大原・西ノ平地区の目標地図の素案写真

 県東部に位置する奈半利町は、海、山、川の豊かな自然に囲まれ、年間を通じて暖かく、農作物の生育には好適な地域だ。
 農地は奈半利川下流域に開けた平坦地域、海岸段丘と山腹に広がる中山間地域に大別され、地域の気象や土地条件を活かして、ナスやスイカなどの施設野菜、露地野菜、水稲、畜産などの多様な経営が行われている。
 町では地域計画を策定するため、「奈半利町地域計画策定推進協議会」を立ち上げた。同協議会は、全ての農業委員・推進委員と農業委員会事務局、町地域振興課、県安芸農業振興センター、農地中間管理機構、JAで構成されている。
 地域計画の区域は実質化した人・農地プランをベースに町内の5地区に設定。その中で先行的に進める地区として、増岡会長の出身地区の大原・西ノ平地区をモデル地区に設定し、集落座談会などを開いてきた。
 同地区では、農業委員から「地域計画の策定に早めに取り組んだ方が良い」という意見が出たことから、2023年4月の改正農業経営基盤強化促進法の施行を待たずに、1回目の座談会を同年2月に開催した。
 これまで回の座談会を開いており、多くの人に参加してもらうため、増岡会長が住民に直接呼びかけた。

集落座談会では地図を囲んで話し合いが進んだ

 座談会はワークショップ方式で開催。農業委員会サポートシステムから出力した地図を用意し、進行役は農業委員や振興センター職員が担った。
 1回目から3回目は、主に出席者から耕作している農地や遊休農地の把握、所有者の所在、「貸したい」や「売りたい」などの意向を聞き取った。
 今年3月に開催した4回目の座談会では、経営の規模拡大に取り組む農業者や新規就農者へ農地の集積・集約化を進めることで合意が図られ、基盤整備を希望する農地の確認も併せて行われた。
 また、集落全体で鳥獣被害に遭わない品目を栽培するため集落営農組織を立ち上げて取り組むことが決まった。
 増岡会長は「目標地図の素案作成には、協議の場での農地の所有者や耕作者の参加が必須。他の4地区での座談会の開催に当たっても、全委員で声がけして一人でも多くの意向を反映していきたい」と語る。