村民全体の話し合いで目標地図作成 沖縄・北大東村農業委員会

北大東村農業委員会(沖山武会長、農業委員5人)は、県内の地域計画策定のモデル地区として活動に取り組んでいる。委員会や村関係部局が主体となり、JAや地域の生産部会などの農業関係団体と協力しながら目標地図の作成を進めてきた。

地区内の現況地図を確認する参加者

 沖縄本島から東へ約360㌔に位置する北大東村では、主にサトウキビ、馬鈴薯、カボチャを生産している。特にサトウキビは島の基幹産業として村民の生活や経済に重要な役割を果たしている。台風常襲地においても持続可能な生産環境・体制づくりを強化してきた。土地改良で区画整理された大規模農業を実践することで機械収穫率100%、担い手への農地の集積率が県内トップの89.7%と県をリードする有数のサトウキビ産地だ。
 地域計画の策定では、北大東村が県のモデル地区として他地域に先駆け、2023年から重点的に取り組むこととなった。
 まず、工程表を整理し、やるべきことを明確化、関係者と役割や進捗状況を共有した。出し手・受け手の意向把握のためのアンケート調査では、回収率を上げるため「人・農地プラン」で意見を取りまとめた際の反省点を活かし、設問をシンプルにした。さらに、担当地区の農業委員が戸別訪問することで回収率はプラン作成時の6割から約9割に増えた。

完成した北大東村の目標地図

 農業委員の地道な農地利用最適化活動が功を奏し、順調に目標地図の素案作成が進んだ。
 現況地図は、1枚の地図にたくさんの情報が入りすぎてわかりにくいという声もあったため、意向調査の項目に沿ってポイントを絞り、見やすくなるよう工夫した。
 その現況地図を使った協議の場は村内3地区でそれぞれ4回実施。村民に強く響くよう「北大東の農業の未来を考える会」と銘打ち、多くの農業者に地域農業の現状を把握してもらった。参加者には将来の農業の在り方について意見交換・検討をしてもらい、今年3月、目標地図が完成した。
 ファシリテーターとして奔走した村農業委員会事務局の大城勇太係長は「意向調査結果から離農予定面積よりも規模拡大希望面積が大きいことがわかった。今後規模拡大を希望する農家と慎重に話し合いを進めながら地図に当てはめていきたい。また今回は農業者だけではなく全村民へ話し合いを呼びかけて合意形成がなされ、将来の地域農業の在り方を決定できたことは大きい」と語る。