農地パトロールや意向調査 タブレットで効率化 茨城・鉾田市農業委員会

 鉾田市農業委員会(飯岡政一会長)では現在、タブレット端末などを活用し、担い手や地権者などから今後の農地利用や農業経営の意向を聞き取っている。その結果を今後の農地利用の姿である「目標地図」の素案作りに役立てている。

(右から)タブレットで回答する鎌田さん、宇佐見農業委員、鬼澤推進委員、小松﨑推進委員、事務局の鬼澤さん

 鉾田市は、県の南東部に位置し、平坦な地形と温和な気候を生かして、全国1位の産出額を誇るメロンとサツマイモを筆頭に、野菜の市町村別農業産出額で9年連続全国1位の市だ。
 同市農業委員会は、農業委員24人、農地利用最適化推進委員35人で構成され、日頃から農地の見回り活動やあっせん、農家の相談などにあたっている。
 農地パトロールは、市内16地区を農業委員・推進委員で班編成し実施。班ごとに配布されているタブレットで現地確認アプリを活用し、遊休農地の調査などを行っている。
 農業委員会では2023年度から、目標地図の素案作りのために担い手から今後の農業経営などの意向調査を進めている。調査対象は、市内7500軒を超える農家のうち、認定農業者と3㌶以上の農家約1千人に絞り込んだ。農業委員会事務局で二次元コードのついた調査票を印刷し、委員が戸別訪問をして配布する。スマートフォンなどで二次元コードを読み込めば回答ページにつながり入力できる仕組みで、5月末までの回収を予定している。
 同市徳宿(とくしゅく)地区の鬼澤直行推進委員(45)は、「二次元コードを活用できない人には、委員が意向を聞きながらタブレットに打ち込んでいく」と話す。農業委員・推進委員が寄り添うことで、回収率を上げている。

農業委員会サポートシステムで色分けされた地図

 入手したデータは、事務局の農業委員会サポートシステムに登録される。「3年前にも意向調査を行ったが、データが最新化され、精度の高い地図を作ることができる」と事務局の鬼澤雄介さん(36)。今後は、経営意向・年齢などに色分けされた地図を活用して地域での話し合いが進められる。
 委員と相談しながらタブレットから将来の経営意向を入力したイチゴ農家の鎌田悟志さん(47)は、「同地区はハウスによる施設園芸が中心で担い手の多い地域。担い手の確保のためにも今後の農家の意向確認は重要」と語る。
 地域の農業者からの意向確認を積極的に進めている宇佐見達夫農業委員(47)と小松﨑晃嘉推進委員(49)は、「農業を若い人たちに魅力のある、かっこよく、楽しく、もうかる職業にしたい」と話してくれた。