新規就農者の独立を強力にサポート 岐阜・多治見市農業委員会

 多治見市農業委員会(加納洋一会長)は、市・JA・県と連携し、同市の根本・小泉地区で新規就農者に耕作地の権利移転や農業技術指導などの支援をしている。また、新規就農者を地域計画の中で農業を担う者として位置付け、活躍できるように就農支援会議の開催や農業委員の声かけなどを継続的に行っている。

(左から)奥村さん、水野さん、若尾委員、前田剛事務局長

 根本・小泉地区では2020年、中心的な担い手だった稲作農家の水野安英さん(74)が、高齢のため離農を表明。耕作地を引き継ぐ就農者の確保が課題となっていた。
 そのような中、同市内で就農を希望していた奥村一樹さん(26)から県東濃農林事務所に就農相談があり、水野さんが作った基盤を引き継ぎたいと名乗り出た。奥村さんは水野さんのもとで約2年、農業技術を学び、準備を進めた。
 市農業委員会は奥村さんを支援しようと、市・JA・県とともに就農支援会議を開催。水野さんの意向と、奥村さんの今後経営する農地や販売計画などの経営方針を聞き取り、認定新規就農者になるため青年等就農計画の作成を支援した。
 また、加納会長(80)や同地区担当の若尾茂農業委員(75)が、農業者としての心構えや農業者年金の説明など、農業経営について助言。さらに若尾委員は、日頃の農地パトロールで把握した遊休農地や離農意向の農業者の農地情報をもとに、奥村さんの農地のマッチングを手助けした。

就農支援会議の様子

 22年10月に認定新規就農者となった奥村さんは、農地中間管理事業などを通して約6haの農地を引き継いた。
 市農業委員会は就農後も引き続き奥村さんを支援するため、関係機関を集めた会議を開催。今年2月には、新たにWCS用稲に取り組む奥村さんの要望に応じ、東海農政局や畜産関係者を集めた。奥村さんは計画の見通しや交付金の活用、販売先などについて理解を深めることができた。
 奥村さんは「自分一人では就農するのは難しかった。水野さんや農業委員会、関係機関の支援があってこそ」と話す。奥村さんのもとには現在、農地を借りてくれないかと直接相談が入るなど、農地の受け手として着実に信頼が高まっている。
 市農業委員会は、今後も関係機関と連携して継続的に奥村さんを支援する。地域計画を作る中で奥村さんを新たな中心的担い手として位置付け、農地集積を進めていき、新たな担い手の確保も行っていく考えだ