農地を活かし担い手を応援する 遊休農地解消し就農者育成 香川・善通寺市農業委員会

 香川県の西北部に位置する善通寺市。全国的課題である農業従事者の高齢化や担い手の減少などの悩みを抱える中、市農業委員会と(公財)善通寺市農地管理公社が連携して、遊休農地の解消や新規就農者の育成に取り組んでいる。

 同市は、平たんな土地が多く、瀬戸内海気候に属し、温暖で少雨の地域だ。農業経営は稲作を主体とした野菜(レタス、タマネギなど)や果樹(キウイフルーツなど)、畜産、麦作の複合経営が盛んだ。
 同市農業委員会(立石泰夫会長)では、遊休農地の解消を重点とし、数値目標を掲げて目標達成に取り組んでいる。農地利用状況調査では、各地区の農業委員が担当地区の遊休農地の状況を調査した後、農業委員会の職員らでフォローアップ調査を行っている。
 善通寺市農地管理公社(理事長=平岡正典善通寺市長)と連携した遊休農地の解消・あっせん活動も特徴的な活動の一つだ。公社は、耕作放棄地の発生防止と解消を目的に、善通寺市とJA香川県が出捐(しゅつえん)し、1999年に設立され、農地の保全管理や流動化などに取り組んでいる。農業委員会と公社はワンフロア化されており、情報の共有などが盛んに行われている。
 「遊休農地への課税強化で、これまで以上に公社や県農地中間管理機構との連携強化が重要になる」と農業委員会担当者は話す。農業委員会では2016年度、利用意向調査を7.8ヘクタール61筆で実施。その中で公社へは14件の利用意向が示された。
 条件不利地などの農地の最後の受け皿として、農業委員会と公社は積極的な利用を呼びかける。「最近は高齢農家の廃業や相続などによる不在村地主が増加傾向にある。こうした農地をいかに活用していくかが今後の課題の一つ」になっている。

 「担い手が高齢化する中、新規就農者の確保・育成を進めなければならない」と公社の高畑強事務局長は話す。公社では、2009年から新規就農者の育成事業に取り組んでいる。3年間、公社の職員として採用し、生活の保障を行った上で、先進農家などによる指導で技術や知識を身につける。2014年までに4人が新規就農を果たし、現在も2人が研修に取り組んでいる。
 研修終了後の農地のあっせんが強みだ。農業委員会や公社、農地中間管理機構などが連携して、就農者の規模拡大も視野に入れて農地をあっせん。就農後の規模拡大もスムーズだ。
 「若い力は地域の活性化にも一役買っている。今後も市の農業を担う人材の確保・育成に取り組んでいきたい」と高畑事務局長は話す。

写真(上)=遊休農地解消活動前

写真(下)=解消活動後の農地