ACTABA活用し調査効率化 静岡県農業会議

静岡県農業会議(西ヶ谷量太郎会長)は県と連携し、今年4月に「静岡県荒廃農地調査DX化推進研究会」を立ち上げた。研究会では、ACTABA(アクタバ)を活用した「荒廃農地調査業務(農地利用状況調査)」の効率化を研究している。

タブレットを使い現地を確認。写真も撮れるため登録も容易

 毎年実施される荒廃農地調査は、農業委員・農地利用最適化推進委員が紙の地図を持ち農地を目視で確認するため、調査の準備から取りまとめまでに大きな労力と作業時間を要する。
 このため、県農業会議と県では、2023年度から試験的に県内5市で、ACTABAを活用した調査業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)化に取り組んできた。
 ACTABAを用いた調査では、まず荒廃農地の可能性のある農地を絞り込み、タブレットの電子地図上に表示させる。農業委員・推進委員は絞り込んだ対象農地を現地で調査し、タブレットで写真撮影をして調査内容と一緒にACTABAに登録する。これら登録データはCSV形式で一括出力できるため、容易に農地台帳システムに取り込むことができる。
 23年度の取り組みでは、田の荒廃農地調査については既存手法に比べて、準備から結果の取りまとめまでの作業時間を73%削減することができた。

データを収集し、ACTABA上に反映

 実際に現場で操作した委員からは、「非常に便利。操作も難しくなくスムーズでこれまでの半分くらいの労力で効率的にできる。調査結果もすぐ登録され紙の地図を持つより楽」と好評だ。農業委員会事務局の担当者も「事前の紙資料の準備や下見が必要なくなり事務量が軽減できる」と話す。
 研究会では本年度も、ACTABAによる調査を継続実施する。茶園での調査では、植生の変化が区別しづらく、判定精度が低いなどの課題があったため、精度向上に取り組んでいくことにしている。
 県農業会議の栗岡隆事務局長は「農地利用状況調査のDX化は、年々業務量の増える農業委員会業務の効率化を進めるうえで重要な取り組みであるので、積極的に普及に努めていきたい」と語る。