「農業組合長会議」で地域計画づくり 滋賀 大津市農業委員会

大津市は現在、市内の各地域で地域計画づくりを進めている。農業委員会(安井善次会長)も小学校区(学区)単位での農業組合長会議を「地域計画会議」として開催、進行することで、市と連携して計画づくりに取り組んでいる。

南浜地区の地域計画会議

 地域計画は、各種助成金の交付要件となることから、すでに人・農地プランが作成されている和邇(わに)学区内の南浜地区でも、計画の策定を求めていた。同集落の農業用揚水ポンプの改修時期も迫っており、補助事業の活用を検討。事業活用には地域計画の策定が要件であることから、同地区の農業委員、森元直紀さん(35)に相談があった。
 森元委員は、これをきっかけにコロナ禍で中断していた和邇学区内での「農業組合長会議」を再開し、地域計画づくりに向けた話し合いの場にしようと考えた。学区内の各農業組合長に打診し、2023年3月に同会議を開いた。
 市農林水産課でも、市内に120あまりあるすべての農業組合の話し合いに参加するのは物理的に困難と考え、地域計画の推進方法として学区単位の農業組合長会議への参加と支援を決めたところだった。
 和邇学区の農業組合長会議は、市や県、農業委員会事務局なども出席し地域計画の概要を説明。農業組合長らに計画づくりへの協力と理解を求めた。その際、進捗状況の把握や各集落の課題解決のため、農業組合長会議を「地域計画会議」として位置付け、隔月ごとに開催することとなった。

農業委員会サポートシステムで作成された南浜地区の目標地図

 域計画会議では、農業委員が会議の進行を務め、進捗状況と各集落での話し合いで発生した課題などについて、毎回夜遅くまで話し合われた。
 目標地図の素案作成では、「この農地は貸し付け希望ならば、隣接して営農するAさんが良いのでは」などと地域の事情に精通した農業委員がアドバイスすることもあった。こうした話し合いを積み重ね、同年10月には和邇南浜地区で地域計画が完成し、翌1月に公告した。
 また、和邇学区の動きに呼応して、他の学区でも同様に農業組合長会議を地域計画会議とし、隔月開催することになった。和邇学区と同じように地区の農業委員が進行役や相談対応などに当たる。
 23年度末には、市の南部の2集落でも地域計画が作成されたほか、北部の3学区の地域計画会議が開催され、多くの集落で地域計画づくりが進められている。