地域の財産活かし委員活動が活性化 岡山 井原市農業委員会

 井原市は、織物産業が活発な地域だ。井原市農業委員会(森永忠義会長、農業委員16人・農地利用最適化推進委員10人)では、織物産業と地域農業のつながりを大切にしている。また、女性農業委員がイベントで活躍し、新規就農者へは手厚いサポートをするなど、農業委員会をあげて同市の農業を活性化しようと活動する。

デニム着用の井原市農業委員会の委員ら(前列中央が森永会長)


 井原市農業委員会では、毎月開かれる会議で委員全員がデニムを着用している。市は、デニム生地の工場やジーンズの縫製・加工工場などが集まる。江戸時代から綿花栽培や藍染織物も有名で、織物産業は地域の農業・農地を基に発展してきた。そのことに感謝し、先人の残した農地を次の世代につなげるため、農業委員会が先頭に立って地域農業の課題解決に努める姿勢を表す。
 また、同市農業委員会は、女性登用が先進的な委員会だ。女性農業委員が4人おり、活動も活発。定期的に開かれるイベント「井原線DE得得市(でとくとくいち)」では、ブースを設置し地元産季節の野菜や果物を販売する。7年目を迎えた今年は、元女性委員にも力を借り参加した。
 山岡宏子委員(3期目)は「イベントでの販売は、販路の拡大だけではなく、女性委員ががんばっている姿を知ってもらうきっかけになる。将来の女性登用につながっていくことを視野に入れて活動している」と語る。
 昨年末には、女性委員が新たにしめ縄飾りの講習会を開くなど、地域を盛り上げている。

得得市で出店した女性委員(右端は森永会長)

 同市はまた、ブドウ栽培の歴史も古く、日本有数の産地だ。県、JAと連携した新規就農者を対象にした農業実務研修制度にも力を入れている。廃園を防ぎ、新規参入を支援など、産地の維持や生産量と品質の向上をめざしている。 産地の一つ市内の青野地区を担当する植田隆志推進委員(70)は、ブドウ農家の親方として研修生を受け入れている。技術指導だけでなく、日頃の農地パトロールで把握した農地の情報を基に、新たにブドウ作りをしたい人と耕作できなくなった人をマッチングし、地域に溶け込めるようにフォローする。
 植田委員のもとで現在研修中の三宅宏明さん(36)は、4カ月目を迎えた。「同市の研修制度を利用して就農し移住した農家さんが周りには多く、とても心強い」と三宅さんが語る。
 森永会長は、「植田委員は技術指導にプラスして、遊休農地、離農意向の農業者の農地情報を基に、研修後の新規就農者のフォローもできる。青野地区の心強い存在となっている」と語る。

三宅さん(左)を指導している植田委員