農地集積率94,6%を実現 佐賀 江北町農業委員会
北町農業委員会(古賀健則会長、66、農業委員13人)は、地域での話し合い活動に特に力を入れている。地域計画の策定が着実に進められるだけでなく、同町の惣領分地区は国から地域計画策定のモデル地区にも選定されるなど、委員会が主導する地域の対話をベースとした活動が注目を集めている。
同町は県中央部に位置しており土地利用型農業が中心の町だ。耕地面積は1050㌶で、農地集積率が94,6%(県平均70,9%、国平均60,4%・2023年度)と全国でもトップクラスの集積率を誇る。
農業委員会では人・農地プランに取り組む以前から農家との話し合いを重視し、意向調査を進めてきた。「地域の農地は地域で守る」を合言葉に、離農する農家があった場合は近隣の大規模認定農家や法人に農地を引き受けられるか調整し、集積してきた。
また、耕作地が国道と線路により分断されている場所が多かったことから農作業の安全性や作業効率に課題があり、農家の規模拡大の障害となっていた。農業委員会は農地の分断を解消するため農地の交換を進め、集約化に取り組んできた。
19年度から20年度に、県から「農地集約化取り組み推進」の指定を受け、大規模認定農家や法人の役員などと地区農業委員、農業委員会事務局職員が定期的に話し合いを行った。その結果、14,6㌶、62筆の農地を集約化。農家からは「圃場から圃場への移動時間が短縮され、作業効率が良くなった」「トラクターで線路を通過する手間が省けた。これまで何度も危険な場合もあったが、農地の交換ができてよかった」と声が上がった。
23年度から始まった地域計画の協議の場は、6地区(大字単位)で実施している。
農業委員が中心となり、地区の生産組合長や集落営農の組合長、認定農業者、法人の役員、県関係機関、JAなどと協力する。10年後の耕作者を示す目標地図の作成では、将来の農地利用の在り方を考えると同時に、農作業の安全性と効率化の視点から農地集約化を進めていくこととしている。
昨年11月には、県主催の「地域計画策定に係る取り組み推進研修会」で事例報告をするなど、地域住民との話し合い活動の重要性を知らしめた。
また、同町惣領分地区は23年、国から地域計画の先進事例として、モデル地区に選ばれるなど、地域計画の策定に向けても順調に取り組みが進められている。