地域計画策定進めミカン産地再生へ 長崎・西海市農業委員会
西海市農業委員会(葉山諭会長、農業委員19人、農地利用最適化推進委員30人)は、市農林緑推進課など関係機関との連携を密にし、順調に地域計画策定の取り組みを進める。その活動は県内の模範となっている。
西海市は県の西彼杵(にしそのぎ)半島の北部に位置し、県有数のミカン産地だ。
県は、県や市町、農業委員会、JA、農地バンクなどで構成する「地域計画推進チーム会」の定期的な開催を推進する。
西海市では、地域計画の推進方針や地図の作成方法などを協議するため、2023年度に5回の推進チーム会を開いた。その中で、市の地域計画は小学校区単位の12地区で作り、各地区の話し合いは2回開くことにした。
まずは地域計画を理解してもらうため独自パンフレットを作り、23年10月に市内全戸に配布。今年2月、話し合いをスタートし、6月までに全地区で1回目を終了した。参加者数は全地区で合計287人だった。
9月から予定されている2回目の話し合いには、さらに多くの農業者が参加するよう農業委員・推進委員の声掛けを強化する。
目標地図の素案は耕作者ごとに色分けして作成。話し合いの場において作目や用水確保、イノシシ被害の状況、筆ごとの耕作意向などを聞き取り地図に記載。入り作などで担い手が重複する地区もあるため、2地区合同での開催も検討中だ。
市の担当者は「参加していない農業者の実態や意向は、農業委員・推進委員やJA指導員が補足することで話し合いが活発になった。地域計画の実現には信頼関係の構築から取り組む必要がある」と話す。
同市では、高齢化や後継者不足でミカンの栽培面積や生産量が低迷。ここ10年間で6割程度に減少している。そんな中、市やJAなどが、遊休農地の解消と集約を進めるため推進委員会を発足。農地バンクが離農者の農地や遊休農地を借り受け、県内初の樹園地の基盤整備事業に取り組んだ。この結果、白崎地区の遊休農地12㌶を含む17㌶が、ミカン山によみがえった。
果樹は本格出荷まで数年かかるため、既存の収入を確保しながら遊休農地などを活用した規模拡大を推進。現在も3地区、約112㌶で事業が進められており、葉山会長は「産地を将来につなげていくために、しっかりと農地を守る必要がある。そのためには集約が必要なので農地バンクの活用を推進していきたい」と産地再生へ期待を込める。