プラン作成地域を軸に地域計画策定へ 愛媛・松山市農業委員会
松山市農業委員会(寺井克之会長、農業委員24人、農地利用最適化推進委員24人)では、本年度末を期限に策定が義務づけられている「地域計画」に取り組んでいる。島嶼(とうしょ)部を中心に先行し、策定準備や話し合いを進めている。

松山市は、県中央部に位置し、平野部では水稲・野菜、中山間地や島嶼部では柑橘栽培など、それぞれの地域に適した作物が栽培されている。
同市農業委員会は現在、農林水産振興課と協力して人・農地プランを作成している地域を中心に、地域計画の策定に向けた話し合いを開く計画を立てている。
意向の確認を兼ねて8月末を期日に、農地の出し手と受け手を対象にしたアンケート調査(島嶼部を除く)を実施。一部、農業委員・推進委員に手渡されたものもあったが、郵送やインターネットによる回答を求め、25.13%の回答があった。
島嶼部を中心とした18地域(興居島2地域、中島16地域)では、昨年7月から他の地域に先行して話し合いの場の調整や農地の出し手と受け手の意向把握に努めてきた。
18地域の主たる産業が柑橘農業であり、自分たちのこととして捉えやすいことから選ばれており、アンケートの回収率は興居島で39.2%、中島で30.5%であり、全体の回収率を上回った。
協議の場では、「栽培している柑橘の種類が違う」「日当たり、水はけなど園地によって条件が異なるため交換は難しい」という意見もあり、傾斜地での樹園地集約の難しさを感じている農業者が多いことがうかがえた。
18地域は、10月までに行われる話し合いを反映し、目標地図の作成を完了する予定だ。
同市農業委員会では、残る34地域についても、アンケートの回答にあった意向を反映させつつ、話し合いを行うとしている。
ただ、一部の地域の意見には、人・農地プランの実質化から間を置かないなかでの地域計画作りに、実効性について懐疑的な雰囲気もある。
同市農業委員会事務局の越智徹主査は、「地域計画の実効性を確保していくためには、今回の策定後も定期的な見直しを続け、地域の実情を反映していく必要がある」と話す。また、「農業委員会活動を展開するなかで、農業委員や推進委員、事務局職員が得た情報を行政部局と積極的に共有し、定期的な見直しを支援・後押ししていければ」と語った。