遊休農地発生防止・解消へ 富山・魚津市農業委員会

 魚津市農業委員会(北田直喜会長、農業委員14人、農地利用最適化推進委員11人)は、関係機関や団体と連携しながら、将来の農業を守るための取り組みを進めている。

出発式であいさつする清水悟史事務局長(右)と農業委員・推進委員(先頭に立っているのが北田会長)

 魚津市は富山県北東部に位置し、急峻(きゅうしゅん)な北アルプスから海岸部までの距離が短いことが特徴。水資源が豊富なことから水稲はもちろん、加積りんごや西布施ぶどう、新川だいこんなどの園芸作物も広く栽培されている。
 魚津市農業委員会は8月20日、21日、27日、28日の4日間にわたって、市内の重点箇所、計42カ所を巡回する農地パトロールを実施した。20日の出発式はテレビなどの報道機関が取材し、同日の夕方に県内で放送された。また、同市では出発式から8月末までの期間中、市役所前公園に農地パトロールを啓発するのぼり旗を設置するなど、農地の有効利用について市民に喚起した。
 調査は遊休農地の実態把握と発生防止・解消、農地の違反転用防止対策を目的として、毎年8月末に実施。パトロール結果をまとめた後、所有者に意向調査を行う。
 同市の農業は「担い手の減少」が大きな課題となっており、現在、地域計画の策定に向け地域の関係者と話し合いを進めている。農地パトロールの調査結果は今後、地域計画を策定するうえで活用する予定だ。

市役所前公園にのぼり旗を設置

 魚津市では市内の農業法人と行政が連携して、地域おこし協力隊の隊員を新規就農者として育てる取り組みを行っている。
 隊員は農業技術を3年間学んだあと、新規就農者として独立するか農事組合法人などで就農するカリキュラムだ。今年4月には地域おこし協力隊として、魚津市に赴任していた隊員が独立就農し、地域内の遊休農地だった圃場で、サツマイモを栽培している。
 農業委員会はこの取り組みの中で、地区の農業委員、推進委員が中心となって、新規就農者が就農する際の農地取得を積極的に支援し、持続可能な農業と農村地域の維持・発展を実現する原動力となることが求められている。
 北田会長は今後について「これからの農業を維持することは今後さらに大変になると思われる。そのため、農家同士が手を組み、情報を共有しながらお互いを助け合う気持ちと行動を大切にして皆でがんばっていきたい」と話す。