20年続く勉強会で研さん、円滑な業務へ 宮城 名取市農業委員会

 名取市農業委員会(引地長一(ひきちちょういち)会長)では、総会前の「勉強会」が毎月開催されており、委員会業務の理解を深めている。また、農業委員会の有志が秋祭りに参加し、地域住民へ農業委員会活動の周知に取り組んでいる。

勉強会で質疑を交わし、業務内容の理解を深める

名取市は県の南東部に位置し、北は政令指定都市の仙台市に面している。気候は県内でも比較的温暖で積雪量も少なく、2024年の3月に地理的表示(GI)保護制度に「仙台せり」の名称で登録されたセリの栽培が盛んだ。
 名取市農業委員会では約20年前から「勉強会」を開いている。新任の女性農業委員から「総会の議案に出てくる用語などが理解できずに苦労している」という声が多かったことがきっかけだ。
 勉強会では、業務を行う中で頻出する用語や農地法に関する事務手続きの流れなどについて、出席した委員が事務局職員に内容を確認する形で続けられている。4年ほど前から男性委員の希望者も加わり、活発に質疑を交わして業務内容への理解を深めている。
 24年6月に農業委員になった板橋英昭(いたばしひであき)さん(63)は11月の勉強会に参加し、「基礎的な研修は受けたが、総会の審議で判断する際に不安があった。勉強会で詳細を知ることで理解が深まり、知識が定着している実感が湧いてくる」と話した。

秋祭りでアンケート板に回答する来場者

 農業委員の松浦朋子(まつうらともこ)さん(62)と佐伯美和(さえきみわ)さん(62)、農地利用最適化推進委員の武田由美子(たけだゆみこ)さん(53)は、都市化に伴い市内に非農家世帯が増えていることから、農業を知らない層ができることを懸念していた。そこで農業委員会の有志で22年から市の秋祭りに出展。今年は「農業委員会について御存じですかアンケート」を手作り。ブースの前にボードを立て、来場者が回答欄にシールを貼り付ける簡単なものとした。回答者には農業委員会だよりや、食品ロスを知るきっかけ作りとして農業委員らが持ち寄った規格外野菜を配布した。
 松浦さんは「農作物に規格外のものがあることを知らなかった人もいた。これを機会に食と農への理解につなげるほか、農業委員会を周知し、身近な存在に感じてもらえるよう地道に活動を続けたい」と語る。