地域計画へ急ピッチ 千葉 一宮町農業委員会
一宮町農業委員会(緑川慶一(みどりかわけいいち)会長、61、農業委員8人、農地利用最適化推進委員8人)では、本年度末の地域計画策定期限に向け、目標地図を作っている。農政部局と連携し、各地区の協力を得て、農地や担い手の現状確認などを急ピッチで進めている。

一宮町は県東部の九十九里浜南端に位置し、町の大部分を占める平地の東部地区では水稲、トマトなどの施設野菜のほか、ネギなどの畑作物が盛ん。一宮川以北の北部地区では水稲、南西部や西部地区では梨と水稲が栽培されている。水稲は町内の大規模経営体が集積を進めているものの、施設野菜と梨は担い手不足から離農が加速的に増えつつあり、課題になっている。
同町は地域計画策定に向け、担い手へ内容を説明するための会合が必要と考え、「地域計画の策定のための説明会及び地域協議」を企画。
同会合は2024年10月、関東農政局、県農業事務所、中間管理機構である県園芸協会、県農業会議の協力を得て、56人の参加者を集め開かれた。
開催までは、農地に耕作者の氏名を記した地区ごとの地図を作成し、可能な限りの現状把握に努めた。町で把握している認定農業者、認定新規就農者、人・農地プランの中心経営体、1㌶以上の稲作農家などに、同会合の開催を周知して参加を呼び掛けた。同町では、農業委員会の田中一郎事務局長が産業観光課長を、農業委員会の大橋佳美(おおはしよしみ)書記、村杉祐星(むらすぎゆうせい)書記が同課の地域計画担当を兼ねており、担当者が重なる利点が良い連携を生んだ。
また、馬淵昌也(まぶちまさや)町長は、同会合に率先して参加。馬淵町長は、かねてより農業の現状に危機感を抱き、計画策定の必要性に理解を深めていた。

会合の第1部・説明会では馬淵町長から、現況地図を基本として現在の耕作者は誰なのか明確にすることがまずは目標と伝えられた。県農業会議から「話し合いの進め方マニュアル」を基に、話し合いの重要性や各種補助事業との関連が詳細に説明された。また、町からは25年3月末までに絶対公表するとの認識が示された。
第2部の地域協議では、参加者同士が用意された地図を挟んで精力的に話し合った。この協議の中で地区を越えた参加者同士の交流も生まれ、廃園の増加が目立つ梨の担い手を探すなどの効果もあった。
町と同町農業委員会では今月下旬に2回目の地域協議を実施する。協議内容を地図などに落とし込み、告示を経て年度末の策定完了をめざす。
緑川会長は「計画の実効性を確保するため、25年度以降、農作物ごとの組合などに集約化に向けた協議を働きかけ随時更新を行うほか、関係機関との協力のもと新規就農者のフォローアップに力を入れるなど担い手の育成・確保を図りたい」と想いを語った。