農地を活かし 担い手を応援する 担い手への農地集積を推進 山形・真室川町農業委員会

 真室川町は、秋田県との境に位置し、山形県の北の玄関口として発展してきた人口約8千人の町。同町農業委員会(橋明会長)は、農業委員が一丸となって遊休農地の発生防止と再生、担い手への集積に取り組んでおり、目に見える形で成果を上げている。

 真室川町農業委員会(農業委員13人)では、班編成をして町全域の農地(約2500ヘクタール)の農地パトロールを実施している。その活動が、遊休農地の未然防止と再生、そして、農地中間管理機構を通した担い手への農地利用集積に結び付いている。
 農地パトロールは毎年8月頃、6班体制で実施する。担当エリアの航空写真を現場で活用し、優良農地の確保に取り組む。遊休化しそうな農地がある時は、場所を特定し、事務局へ報告する。報告を受けた事務局では、調査した農業委員と現場の情報を共有し、農地の所有者へ声を掛け、今後の農地利用の意向について1件ごとに確認をする。声を掛けた農地は、冬まで追跡調査を実施するなど遊休農地の発生を未然に防いでいる。
 また、こうした活動の中で、蟻喰(ありばみ)地区では、遊休化した農地を再生し、担い手へ利用集積している。
 同地区の農地所有者から農地の貸し付けについて農業委員会が相談を受ける一方、他地区の担い手が新たな圃場を探している情報があり、両者をマッチングさせようと、担当地区の農業委員2人が担い手を現場に案内し、借り受けに向けた話し合いを始めた。現地確認を繰り返すうちに、隣接する農地所有者からも貸し付け希望の声が寄せられた。
 6人の農地所有者から2人の担い手(うち1人は農業委員)へ、農地中間管理機構を通して、農地集積(6.4ヘクタール)を行った。担い手の1人は、再生した農地を活かし、里芋を栽培している。里芋は県内のスーパーへ販売し、雇用(臨時)の拡大も図っている。
 同町での農地中間管理機構を通した担い手への農地集積面積は、2014年度が22ヘクタール、2015年度が30ヘクタール、合計52ヘクタールの実績となっている。
 農業委員会事務局は、農林課との兼務体制でありながらも、組織的な実施体制と丁寧な対応によって、同町の担い手への農地利用を推進している。

写真(上)=蟻喰地区の遊休農地

写真(中)=農地を再生し里芋を栽培

写真(下)=航空写真で農地の位置を特定