農地を活かし担い手を応援する 神奈川・茅ケ崎市農業委員会

都市農業の振興めざし農業・漁業体験イベント開催

 神奈川県の中南部にあたる湘南地区の中心に位置する茅ヶ崎市。農業と漁業が盛んに行われる一方、人口24万人が暮らす消費地でもある。そこで茅ヶ崎市農業委員会(加藤俊明会長)は、市農業水産課と連携して農業・漁業体験イベントを開催し、都市農業の振興に取り組んでいる。

 同市は、相模湾に面し、年間を通して気候が温暖で、漁業とともに農業が盛んだ。野菜や花き、果樹生産のほか、畜産も営まれている。また、24万人(2016年8月時点)が暮らす消費地でもあり、市と青果商組合が連携して、地場産農産物がいつでも手軽に消費できることを目指した「茅産茅消」(地産地消の茅ヶ崎版)の推進に取り組んでいる。市内農家や魚市場などを巡る買い物ツアーや地元農家と八百屋が連携したイベントなど、農業振興に向けたさまざまな取り組みも実施されている。
 解消した遊休農地を活用する「農業・漁業体験プロジェクト」もそんな取り組みの一つだ。市内親子を対象に、農業と漁業が盛んな同市の特色を生かした体験を通じて、農水産業の大切さを知ってもらうのが目的だ。同市農業委員会と市農業水産課が連携して、毎年開催している。

 農作業体験の圃場に遊休農地を活用することで、遊休農地の解消と有効活用を図っている。さらに農業現場や漁業現場に親しんでもらうことで、都市農業と漁業への理解促進につなげている。
 体験は春から秋にかけて行っている。その内容は、(1)農作物の植え付けと田植え(2)刺網漁や稚魚放流体験(3)市内野菜農家や畜産農家、魚市場などを巡る買い物ツアー(4)野菜の収穫体験――などだ。
 農作業体験では、農業委員が農作業の実演や指導を行っている。田植えや農作物の植え付けのほか、農業の大変さも知ってもらおうと、草取りなどの圃場管理も体験してもらう。
 農作業体験の最後には、サツマイモやサトイモの収穫や稲刈りと稲木干しを体験してもらい、参加者が収穫した野菜を使った料理を楽しむ収穫祭で締めくくる。
 遊休農地の活用と農業への理解促進だけではなく、食育にもつながるこの取り組みは、貴重な体験ができるとして参加者からも好評だ。市農業委員会は、今後も市農業水産課と連携し、農地の有効活用と都市農業の振興に向けて取り組みを進める。

写真(上)=親子を対象にした農業体験

写真(下)=秋には収穫祭も