農地を活かし担い手を応援する 女性委員誕生目指す 和歌山・みなべ町農業委員会

 和歌山県日高郡みなべ町は、県の中央部に位置し、木になる宝石「南高梅」発祥の地として知られている。同町農業委員会(中早義仁会長、委員29人)は、今年4月に控えた新制度移行に向け、女性の登用と農家の経営基盤強化に焦点をあて、外部講師を招くなど各種研修会を充実させている。

 「みなべ・田辺梅システム」が、世界農業遺産に認定され、同町は活気づいている。
 一目百万、香り十里と称されるなど、同町の農地2470ヘクタールのうち、2170ヘクタールでウメが栽培され、収穫量3万4800トンは全国一の約25%を誇る。
 同委員会は昨年10月13日、町農業振興協議会との共催で「地域農業で女性が担う役割」をテーマに講演会を開催。農業委員や女性農業者など、関係者約40人が出席した。女性の農業経営への参画の機運の醸成や、農業委員会などの団体への女性登用を促進するのがねらいだ。
 埼玉県女性農業委員協議会の横田友会長を講師に迎え、自身の6次産業化の取り組みや、耕作放棄地解消の活動事例などについて話を聞いた。
 同町には現在女性農業委員はいないが、2月には「全国ウメ生産者女性サミット」の開催が予定されるなど、女性農業者の活動が活発だ。
 4月の新体制移行に向け、同町初の女性農業委員・農地利用最適化推進委員の誕生へ機運が高まっている。

 昨年12月13日には、奈良県宇陀市から(有)山口農園の山口貴義代表取締役を招き、農業法人などの組織づくりをテーマとした講演会を開催。ウメ農家や農委関係者など、約50人が参加した。
 山間地で利益を確実に上げている農業法人の取り組みを紹介することによって、担い手不足や耕作放棄地などを解消し、農地利用の最適化につなげるのがねらいだ。
 山口代表は、同農園の取り組みの特長について、全ての農作物が有機JASの認証を受けていること、しっかりとした生産・販売計画を立てていること、業務が完全分業制であることなどを上げた。
 中早会長は「新体制の農委組織に女性の力が必要なのはもちろん、農業委員、推進委員の一人一人が農業経営について意識することが必要」と話す。「新体制へスムーズに移行し、これからも農業委員会が地域農業者の旗振り役として活動できるよう、関係者一丸となって取り組みたい」と語った。

写真(上)=耕作放棄地対策などの取り組みを講演する横田さん

写真(下)=山口さんの講演から山間地での組織経営を学んだ