農地を活かし担い手を応援 農地の適切な利用を啓発 鳥取県 北栄町農業委員会

 鳥取県の北栄町農業委員会(坂良男会長)は、遊休農地による近隣住民への迷惑を解消するため、農業委員全員が遊休農地の解消と農地の適切な利用を啓発する「農地適切利用啓発事業」(町単独事業)に取り組んでいる。住民参加型の活動も取り入れ、農業の理解促進にもつなげる。

 同県中部にある北栄町はスイカ、砂丘らっきょうの産地で農業が盛んだが、農業従事者の高齢化、担い手不足、農業所得減少などで遊休農地の増加が問題になりつつある。
 2年前、農業委員の発案により、同事業を活用し、雑草の繁茂で住民の迷惑になったり、見通しを悪くして車の通行などに危険をおよぼす遊休農地11筆78アールを農業委員24人全員参加で農地に復元した。役場近くの人目に触れる場所だったので、農地の適切利用への波及効果が期待される。
 農業委員が草刈機による除草作業、トラクターによる耕運作業を10回行って農地に復元し、農地の適切利用を啓発する看板を設置した。
 復元後は、呼びかけに応じた近隣住民と農業委員が一緒にカボチャと景観作物のヒマワリを植え付けた。作業への住民参加で農業への理解を深め、農家には転用手続きの周知を図る。
 カボチャなどの栽培管理は農業委員が実施。収穫には近隣住民も参加し、「農業体験もできた上、農地がきれいになってよかった。収穫したカボチャはとてもおいしかった」と住民にも好評だった。収穫したカボチャ、ヒマワリの種子の一部は「北栄砂丘まつり」で配布し、参加者へ農地の適切利用と農地転用手続きの啓発を図っている。
 この活動は、農業委員会だよりやCATVを通じて紹介され、遊休農地の解消と農地適切利用、農業への理解につなげている。
 遊休農地の所有者には今後の適切な利用を促した。一部の農地は、町内の担い手が借りて同町の菜の花プロジェクトに参加し、菜の花を植栽した。
 「農業委員が直接、遊休農地を復元・耕作することで農地の適切利用が啓発されている。住民の農業体験では農業の楽しさや大切さが理解されたと思う」(農業委員会事務局)。「今年度は農業委員の改選で『砂丘まつり』への参加による活動が行えなかったが、復元した農地の耕作者が決定した。来年度は当初から農地の適切利用啓発に取り組めるよう検討している」

写真上=農業委員による除草作業

写真中=農地適切利用啓発事業の看板を設置

写真下=再生した農地にカボチャを定植