新生農委 推進委員の専門委員会設置 山形・南陽市農業委員会

 山形県南陽市農業委員会(沼部清伸会長)は昨年4月、県内でも先駆けて新体制に移行した。組織内に農地利用最適化推進委員による専門委員会を設置し、推進委員の意識向上と農業委員とのスムーズな連携を図っている。
 同市は県南部の置賜地域に位置し、およそ3千ヘクタールの耕地面積のうち3分の2が中山間にある。稲作中心の同地域の中では珍しく、水稲と野菜、果樹、畜産などとの複合経営が多い。
 同市農業委員会は改正前の農業委員22人から、農業委員17人と推進委員8人の計25人体制となった。推進委員は人・農地プランの作成区域をそれぞれ担当し、8人中3人が農業委員経験者。新米推進委員のサポート役として頼もしい存在だ。農業委員のうち7割が認定農業者で、30〜40代の若手も2人確保しており、幅広い人材でスタートを切った。
 推進委員からも委員長と職務代理を選び「農地利用最適化推進委員会」を組織し、連絡調整と情報共有のための会議をこまめに実施。昨年度は8回開き、推進委員の役割や年間の活動計画などを協議し、取り組みの方向性を探っていった。
 委員長の二瓶広さん(57)は元農業委員。担当地区の離農希望者や農地貸し出し希望者の情報を掘り起こし、認定農業者などと話し合って貸借につなげるなど、地域に密着した活動に力を入れる。
 「まだまだ手探りで、普段どう動けばいいのか悩む推進委員もいる。他の地区にも広がるよう見本となる取り組みをしていきたい」と二瓶さんは話す。
 推進委員は総会には出席しないが、農業委員との意見交換会などの交流の場を定期的に設けることで連携を密にしている。農地パトロールを重点的に実施する8月には、両委員が2人1組で巡回。推進委員はこれ以外にも、地図を片手に常日頃から耕作放棄地の把握に努める。
 同市農業委員会の「農地等の利用の最適化に関する指針」では、「10年後までに全農地の80%を担い手に集積する」など、3年後、5年後、10年後に向けた中長期的な目標を掲げている。現在の集積率は48.2%だが、中山間部の農地が多いため一筋縄ではいかない数字だ。
 沼部会長(67)は「作業効率を上げるには農地を集積・集約して大区画化することが必要だが、条件不利地が多く農地の受け手不足が深刻」と課題を挙げながらも、「推進委員と手を取り合いながら、しっかり地域の農地を守っていきたい。そのためにも、とにかく新体制を軌道に乗せなくては。2年目の今年が踏ん張り時」と力を込める。

写真説明=両委員合同の研修会