新生農委 最適化推進会議で情報交換 静岡・富士宮市農業委員会

 昨年4月から新制度に移行した静岡県富士宮市農業委員会(望月三千夫会長)は、毎月の総会終了後に農業委員と農地利用最適化推進委員による農地利用最適化推進会議を開催。農地のあっせん状況や遊休農地、市民から寄せられた農地に関する苦情などを報告するとともに、推進委員がそれぞれの担当地区での取り組み状況を報告している。
 同市の農業委員は30人から19人に減少し、推進委員はJAの支所単位に13人を委嘱した。13地区ごとに担当する農業委員と推進委員を決め、両者の連携を強めている。農業委員会には推進委員が、逆に推進会議には農業委員がオブザーバーで参加することで、市全体の現状と個々の案件、地域の課題などを全員が共有し、お互いの刺激になって農業委員会活動が活発化している。
 同市では酪農や茶が盛んだが、耕作放棄地も増加している。年間40〜50件の農地の売却や貸し付け希望案件があるが、借り手、買い手の希望は少なく、あっせんが成立するのは毎年半数程度。稲作農家の認定農業者は1人もいないため、土地利用型農業の担い手の確保・育成が大きな課題となっている。
 再生困難な遊休農地は非農地化を進めているが、耕作放棄地は全農地の16%を占めており、推進委員への期待は高い。このため、昨年4月の推進委員の就任直後に、それぞれの担当地区で過去にあっせんが成立しなかった農地の所有者を戸別訪問し、農地の利用状況と所有者の意向などを再確認することから活動を始めた。
 同市農業委員会のもう一つの特色が「農地相談員」の存在だ。あっせん申し出があった農地の受け手を掘り起こすために、2011年度から1人設置している。現在の相談員は2014年度に就任した2代目の遠藤邦男さん(66)だ。推進委員や農業委員と一緒に現地を回り、推進会議の資料づくりなど会議の準備も担当する。遠藤さんは「地元の事情に精通した推進委員からの情報は重要で、あっせん活動もしやすくなった」と話す。
 定数条例の審議の際、議会からは推進委員の定数が少ないのではないかという意見もあったが「農業委員との連携を密にして結果を出していくと理解を求めた。推進委員制度ができたことで、農業委員の意識も変わってきた」と高野裕章事務局長。活動体制を強化するため、市では活動実績に成果実績を上乗せする条例改正を準備中だ。

写真説明=あっせん依頼のあった農地を確認。左から遠藤相談員、土橋孝光推進委員、石川邦彦農業委員、荻照雄農業委員(富士宮市提供)

※土橋委員の土は右上に点