農地を活かし担い手を応援する 農業者年金関係者が意思統一 長崎・南島原市農業委員会

新規加入者が10年間で544人達成!

 長崎県の南島原市農業委員会(中川繁憲会長)は、農業の担い手を確保するには、安定した老後生活の保障が必要との考えから、農業者年金の制度普及・加入推進に力を入れてきた。その取り組みは、2007年度からの新規加入者数5年連続全国1位、2016年度までの10年間で544人の新規加入者確保などの実績につながっている。

 長崎県の南部、島原半島の南東部に位置する南島原市は2006年に旧8町が対等合併し誕生した。北は島原市、西は雲仙市に接し、南は有明海を挟んで熊本県天草地域に面している。温暖で肥沃な土地を利用して、バレイショ、イチゴ、トマト、肉用牛、豚などさまざまな農畜産物が生産されている。
 同市は、加入推進部長13人をはじめとする全農業委員、JA各支店長、農業者年金受給者協議会(受給協)役員に、女性加入者が組織する「農業者年金女性の会」(太田香代子会長・会員数46人)と一昨年発足した「農業委員OB会」(酒井光則会長・会員数27人)が加わり、体制を強化して加入推進に取り組んでいる。
 毎年、関係者が一堂に会する「農業者年金加入推進大会」を開催する。基調講演や事例発表を聞いた後、旧町単位で編成した班ごとに農業委員、受給協、JA、女性の会、OB会のメンバーが分かれて協議。推進対象者と誰が担当するかや班ごとの目標数を決める。最後に各班長が決意を表明して、参加者の意識は大いに高まる。
 農業委員は、日頃の農業委員活動から生まれた信頼関係を駆使して戸別訪問のきっかけを作っている。受協役員や女性の会メンバーは個々の家庭で後継者やその配偶者、親戚に、また、OB会は農業委員時代の知識と経験、人脈を駆使するなど、それぞれが持ち味を活かして推進に取り組む。戸別訪問に際しては、事務局やJAが同行して政策支援の活用や夫婦同時・親子同時加入など、それぞれの農家に合う加入スタイルを提案する。
 事務局は「信頼関係にある人の口コミの力は強い。日頃の農業委員としての地道な活動があるから、『あなたの話を聞きましょう』と戸別訪問につながる。また、年4回発行する農委だよりや農業者の集まる場でのPRも欠かせない」と話す。
 大会は8月に開催予定だが、すでに加入推進活動は始まっている。

写真上=加入推進大会で熱心に話を聞く参加者

写真中=その後、班ごとに分かれて対象者や目標を協議

写真下=戸別訪問には事務局が同行し、制度を説明