農地を活かし担い手を応援する 第2部 農地利用の最適化(33) 市民会議を発足 宮崎市農委会

 4月1日の改正農業委員会法施行に向け、現場が動き出した。宮崎市農業委員会(甲斐義弘会長)は昨年12月、公選制から選任制への移行など大がかりな改正となった点を踏まえ、「新農業委員会制度検討市民会議」を発足させた。60年ぶりの大改革を「農業委員会をより広く市民に知ってもらうチャンス」ととらえた。
 「端的に言って、農業委員会が従来の農地法などによる許認可中心から耕作放棄地対策を含め農地利用の最適化に業務の重点を移し、活動の『見える化』をさらに進めなくてはならないのですから」。椎木隆事務局長は同会議を立ち上げた狙いをこう話す。
 農業委員会が新体制のもとで中心的に取り組む仕事は、これまで以上に非農家も含めた広範な支援・協力が必要との認識だ。加えて「市民会議」のネーミングには「この際、農業委員会を広く市民にPRしたい」との思いがにじむ。
 市民会議の構成は農業委員会から会長、会長代理、小委員会代表、女性農業委員の4人、農業団体から県農業会議、市土地改良区事務局連合会、農協、認定農業者、青年農業者、女性農業者の各代表7人、利害関係のない団体として市自治会連合会代表と学識経験者の2人の計13人。一方、市には関連各部などからなる「庁内会議」が新たに設けられ、検討を深める。
 同市の現行委員の任期は2017年7月19日まで。市長による新委員任命まで約1年半となるなか、選任制という新たな枠組みのもと新農業委員や最適化推進委員がどのように選ばれるのかをしっかりと浸透させたい考えだ。農業委員の新定数などを定める条例は来年度制定を予定。市民会議での前広かつ理解の深まる論議を期待している。
 当日の会議では「農業がこれ以上疲弊しないよう農業委員会が持つ地域の代表としての性格を今後も担保してほしい」「女性農業委員の積極的な参画を」などのほか「新制度のPRには地域座談会などにも出席してよく説明することが大事」などの意見が出された。
 椎木局長は「今回の市民会議の発足は、大きな一歩です。委員定数や地域推薦の方法など、実効があがるようしっかり議論していきたい」と抱負を語る。

写真説明=大きな期待を集めて開かれた宮崎市の新農業委員会制度検討市民会議