農委会中心に地域活性化 新規作物導入や農地集積に積極的 長野・辰野町農業委員会

 辰野町農業委員会(有賀勝英会長)は2016年4月に新体制となり、7人の農業委員と7人の農地利用最適化推進委員が誕生した。農業委員会では、遊休農地の発生防止・解消に向けた栽培作物の検証と「人・農地プラン」による担い手への農地の利用集積・集約化など農地利用の最適化活動を積極的に進めている。

 上伊那郡辰野町は、長野県の南部に位置し、北緯36度と東経138度が0分00秒で交差する通称ゼロポイントがある。
 農業は、販売農家数317戸。耕地面積952ヘクタール。主な作物は、水稲214ヘクタール、ソバ92ヘクタール、リンゴ14ヘクタールとなっている。遊休農地は昨年9月の農業委員会によるパトロールの結果、約19ヘクタールとなっている。
 農業委員会では、遊休農地の発生防止・解消に向けた活動として、栽培環境を選ばず、あまり手間がかからない「エゴマ」を昨年から試作栽培している。
 町独自で設置する農地利用最適化推進委員長の古村孝さんを中心に昨年5月から、月に1回程度の農作業を全員で実施。秋に収穫、試食などを行い、1年目の活動を終えた。
 この取り組みが町内で注目され、2月には今春から栽培を希望する132人に種を配布した。
 今後は、町の食の革命プロジェクトと連携し、さらなる展開方法を研究するとしている。

 また、町では「人・農地プラン」を進めるため、町の営農センター(会長=武居保男町長)」が、毎年2月に5地区で懇談会を開いている。
 それをきっかけに、2016年、2017年に小野・川島の両地区で農地耕作条件改善事業に取り組むことになり、農地中間管理機構の重点地区にも指定された。
 この事業で、作業道と水路が整備され作業条件が改善され、併せて農業委員会では、農地の利用集積を担った。具体的には、農地中間管理機構を通じ、農地の利用集積を2016年に27.2ヘクタール、2017年に32.6ヘクタールを6人の担い手に権利設定することができた。
 農事組合法人たつの営農には、借地希望面積の40ヘクタールに対し、2016年に22ヘクタール、2017年に29ヘクタール、合わせて51ヘクタールと希望を上回る集積が実現した。
 これを機に町の支援を受け、産地パワーアップ事業の活用により、最新のコンバインを導入。地域の担い手として活躍が期待されている。

写真上=エゴマを栽培をする農業委員と推進委員

写真下=エゴマの試食会