担い手を強力サポート 農委会、関係団体ら体制盤石 埼玉 狭山市農業委員会

 狭山市は、都心から約40キロという立地条件のもと、大消費地に隣接した地理的優位性を生かし、サトイモ、ホウレンソウ、エダマメなどの野菜が中心に生産され、その多くが首都圏に出荷されている。一方で農業従事者の高齢化や後継者不足による農業就業人口の減少により、遊休農地が増加傾向にあるなどの課題も抱えている。こうした中、狭山市農業委員会(諸口高男会長)は農地を守り、担い手を支援する活動に力を入れている。

 同農業委員会は、規模拡大を目指す農業者への農地集積や、遊休農地の解消など、日々活動する中「担い手を守らなければ、農地は守れない」という思いで、農業委員と地域の担い手、事務局や関係団体と密接に情報を共有するなど、地域の担い手が抱える課題などに対し、速やかにサポートができる体制をとっている。
 農業委員が日々、農作業などで関わる人の情報や、遊休農地の情報など、内輪での話で終わらせることをせず、小さなことでもすぐに事務局に連絡し、問題解決に向けた検討会などを開いている。
 毎月の総会の前には、地区の代表者を募り、総会の内容の検討や地域で抱える問題について情報交換する運営委員会を開催。現地の確認についても担当地区の委員が行う。
 また、総会の際は、提出議案についても担当地区の農業委員が自身で議題を報告する。

 このような体制の中、同市の水野地区は、地区の農業委員が日頃から地域に目を配り、相続した農地の所有者の自宅を訪問するなど有効利用に向けた話し合いを実施し、関係団体との情報共有を密にすることで、近隣市の担い手へ約1.3ヘクタールの農地をあっせんするなどの事例も生まれている。
 同農業委員会の担当者は、総会などの場で、情報交換や情報提供の機会を多く設けることで、今後も「地域が抱える課題に対する解決の入り口をつくっていきたい」と話す。

 諸口会長(70)は「高齢化も進み、後継者も不足している一方で、新規参入者などの数は増え始めている。担い手の確保とともに狭山市の担い手と農地を守るためにも、地域の隅々まで目を配り、多くの情報を農業委員全員で共有することが大切」と語る。

写真説明=総会も情報共有の場として有効に実施