耕作放棄地解消に向け 推進委員取り組み展開 栃木・宇都宮市農業委員会

宇都宮市農業委員会(大森澄雄会長)は昨年の新体制移行後、農地パトロールや意向調査、関係機関も交えての地区連絡会など、遊休農地の利用調整に取り組んでいる。その中でも、意欲的に活動する農地利用最適化推進委員の2人に耕作放棄地問題に対する考えを聞いた。
宇都宮市は昨年7月、農業委員会制度の改正を踏まえ、新体制に移行した。
移行後、耕作放棄地問題に意欲的に取り組む2人の農地利用最適化推進委員がいる。
1人は中島町を担当する小島孝夫さん(65)。同地区は、土地改良が進んでおらず、農道が整備されていないため、所有農地に機械を乗り入れるのが困難な場所がある。
また農業用水の管理問題や高齢化による担い手不足も見受けられる。こうした状況から、仮に集積が進んだ場合でも、担い手の負担が大きくなり、長期的に農業経営を続けられないのではないか、と小島さんは頭を悩ませている。
現在は地域の農家を訪問したり、道で会った際や会合の機会を利用して話を聞いたりと、今後の農地利用の方針について個別に調査し、地域の状況を確認している。
「担い手に土地を集積するだけでなく、長期的に続けられるようにしなければならない。地域の農業人口が減少するにつれて、行事や集まりが少なくなり、寂しさを感じる。担い手に継続してもらうことで、地域の活性化につながってほしい」と小島さんは語る。
もう1人は針ヶ谷町で推進委員となった青柳隆一さん(67)。青柳さんは昨年、担当地区の農地を借りるために耕作放棄地を解消した担い手と連絡を取り、さらなる受け手と借り手のマッチングを検討している。「以前から耕作放棄地として認識されていたところが解消され、地域でも喜ばれている」と青柳さんは言う。
就任後、青柳さんを含む農業委員・推進委員数人で雀宮地区に意向調査票を配布。1週間後に調査票を回収するなど精力的に動いた。またその際に農業委員会のチラシも渡し、農業委員会活動の周知に取り組んだ。
青柳さんは「まずは農業委員会について知ってもらうために、さまざまな情報を地域に伝えて行きたい。少しでも組織と地域のためになりたい」と地域への思いを語った。
新体制移行から間もなく1年。ますます推進委員の活躍が期待される。
写真上=宇都宮市農業委員会の農地パトロール
写真中=小島孝夫さん
写真下=青柳隆一さんと解消された農地