担い手と農地の出し手を調整 最適化に向け定期検討会 大分・中津市農業委員会
中津市農業委員会(中原穰治会長)は、2017年7月に新体制へ移行し農業委員15人、農地利用最適化推進委員23人が積極的に活動を展開している。これまで、農地パトロールなどの遊休農地対策を中心に活動してきたが、担い手と農地の出し手間を調整することが「農地利用の最適化」で最も有効な手段となることから、1月から委員と関係機関による「農地利用最適化推進会議」を定期開催している。
同市農業委員会では、各委員が担当地区内で農地利用の最適化、特に農地の利用調整を進めていくためには、出し手・受け手の「相談役」でなければならないと考えた。
そこで、まず手始めとして農地の出し手・受け手が利用権設定(貸借の権利設定)を行う際は地区担当の委員に書類を提出し、委員を経由して農業委員会事務局に提出することとした。
また、利用権の契約期間満了の通知を契約者へ行う際には、地区担当委員にもその情報を提供している。これにより、耕作できなくなった人からの相談やフォローアップ、規模拡大意向や今後の営農継続予定期間などの細かな情報が入手できると考えており、それらの情報を同会議で共有することにしている。
一方で、地域の担い手が農業委員、推進委員に選ばれていることもあり、農業者からの相談の際にじかに耕作を依頼される委員も多い。そのため、耕作面積が急激に増加して苦しんでいる委員も少なくない状況となっている。
農地の利用調整を進めるうえで欠かせない存在がある。山国地区で2003年に設立された「公益社団法人農業公社やまくに」だ。同法人では、耕作できなくなった農地の受け皿となるよう農作業受託を設立以来、多く行ってきた。しかし、年々農業者が減少することもあり、作業受託ではなく農業経営そのものを求められるようになった。
そこで、2014年に「株式会社農業生産法人やまくに」を新たに設立。中山間農業の最終受け皿として、社団法人との機能分離および農地の管理や農作業受託を活発に行い、農地の中間管理ではなく直接生産・販売することで農地を維持・管理するなど効率的な生産活動に取り組んでいる。
担い手が耕作可能な農地もしくは集約につながる農地であれば担い手と利用調整し、受け手がいない農地については同社が引き受けて営農する。農地の中間管理だけをするのではなく、営農することで地域農業との協調と優良農地の確保ができている。
同市では農業委員会や農業公社やまくになどを中心に農地利用の最適化が進められており、その取り組みは農地利用最適化推進会議で共有し、次の一歩につながるようにしている。
しかし、農地利用最適化推進会議では今後、地域で調整が困難な案件や地域間を越えた案件などの情報が出てくることも考えられる。それら対応が難しい案件の調整を進めるには、これまで以上に農地中間管理事業が必要不可欠となる。
農地の中間保有や全面的な委任といった、これまでよりも踏み込んだ同事業の運用などについても協議を重ねながら、現場で起こる課題解決の場として会議を有効活用していく。
写真上=農地利用最適化推進会議で協議する委員ら
写真下=農地調整につなげるため現地確認する委員