農地を活かし担い手を応援する 担い手へ農地を集積 福岡県 大川市農業委員会

農地中間管理事業を活用

 福岡県大川市では、農業従事者の高齢化と後継者不足が深刻化し、優良農地でも不作付け状態が目立つようになってきた。同市農業委員会(田中博文会長)は、この状況を打開するため、関係機関と連携して、農地中間管理事業で集落営農法人など担い手への農地集積に取り組んでいる。

 家具の生産量日本一をほこる大川市は、福岡県の南西部に位置し、イチゴやアスパラガスなどと水稲を組み合わせた、施設野菜を中心とする高収益型複合経営が盛んだ。
 近年、農業従事者の高齢化と後継者不足が深刻化し、優良農地においても目立つようになっており、早急な対応が課題となっている。
 同市農業委員会は、不作付け状態を打開すべく、JAや市、県、地元の中心的な経営体などと一体となって、担い手への農地集積に取り組んでいる。
 一つのきっかけとなったのが、2012年の「人・農地プラン(地域農業マスタープラン)」の作成。集落や地域での話し合いで、将来の農業の姿とそこに至る計画を作ろうというこの取り組みの当初から、農業委員会は積極的に関与している。
 農業委員会だより「輪鍬喰(わくわく)」(管内全戸配布)に同プランの紹介記事を掲載して普及啓発を行うとともに、プラン作成を念頭に、農地の利用状況などを農地パトロールによって綿密に調査して基礎資料とした。市内六つの地区別プラン検討会では地元農業委員が話し合いの中心的役割を務めた。
 また、同市では、同プラン見直しなどの機会になる検討会を年2回開いているが、田中会長と辻律子委員、野口至米子委員の3人が、農業委員会から参画している。
 農地の集積には、各地区において集落営農組織が主要な担い手となったことから、その法人化を推進。1年かけて、準備・調整などに努めた。農業委員会では、農地中間管理事業の利用を視野に、事業周知のチラシ配布なども行った。
 昨年度は、5組織が法人化を果たし、それらを中心に農地中間管理事業によって124ヘクタールを集積した。
 農業委員会の田中会長は「大切な財産である農地をきちんと生かすため、委員一丸となって力を尽くしていく」と語る。

写真上=「大川市人・農地プラン検討会」は3月と9月に実施

写真下=集積された市内の農地