人・農地プランで農地集約加速 宮城 角田市農業委員会
宮城県南部に位置する角田市西根地区では、農地の集積は進んでいるが、暗渠が老朽化し、農地が何カ所にも分散していたことから農地の集約化が課題だった。しかし、「人・農地プラン」検討会をはじめ、地区内での数々の会合を通じて1年間で地区全体の約4分の1の面積となる119ヘクタールを集約するめどが立った。話し合いをリードしたのは農業委員と農地利用最適化推進委員だ。
同市ではこれまで市内一本で「人・農地プラン」を策定していたが、地区ごとに課題や担い手の構成も異なるため検討会では話し合いがかみ合わない時があり、農地利用の最適化を十分に推進できていなかった。
こうした状況を踏まえ、2017年度より「人・農地プラン」は7地区に分けて策定する方針に変更され、特に西根地区では、農業委員会や関係機関が積極的に働きかけ、農地の担い手への集積と集約化が進展しつつある。
背景には、農地の再整備の必要性が高まっていたこと、農地が広域に分散して担い手の経営規模拡大に限界が見えてきたことがある。また、同地区で圃場整備が行われたのは約40年前であり、暗渠は老朽化し、水田は30アール区画だった。今後の農地集約化のためには、簡易な整備が可能な「農地耕作条件改善事業」の導入が必要だとの声が上がっていた。さらに、(有)角田健土農場をはじめとする地域の担い手は、農地が分散していることから、作業時間に限界を感じていた。
このような中、同地区の人・農地プランなどの検討会では、農業委員2人と推進委員3人を中心に、市農林振興課、市農業公社、土地改良区、県農業改良普及センター、農地中間管理機構、農業委員会事務局が参画し、2017年8月からの1年間で「人・農地プラン」の見直しのほか、20回の話し合いが実施された。会合の進行役を務めた遠藤裕一農業委員は「地域の農業は後継者が見つからず危機的状況にある。事業のメリットが低下した中で、地権者の理解を得ることが課題だったが、西根地区で将来とも農業を持続させていくために何をすべきかを話し合ってきた」と語る。
話し合いでは「西根地区担い手農家土地利用計画」という、将来的に主要な水田約420ヘクタールを担い手に集約したエリアを色分けした図面が提示された。集落での話し合いの結果、合計119ヘクタールの農地を担い手に集約化する同意が得られた。
今後は、農地について農地耕作条件改善事業による基盤整備と農地中間管理事業の採択に向けた合意形成に向け、農地の所有者に対してこれまで以上に議論を重ねていく考えだ。
市農業委員会(横山誠一会長)の堀米浩二事務局長は「農業委員と推進委員の方々の積極的な働きもあり、一つの素晴らしい取り組み事例が出てきたので、これを市内に広げていきたい」と抱負を語る。
写真上=検討会を重ねた結果、西根地区では119ヘクタールの農地を担い手に集約するめどが立った
写真下=合意を得た西根地区の農地を示す遠藤農業委員