高齢認定農業者に両委員が訪問調査 石川 加賀市農業委員会
加賀市農業委員会(小川廣行会長)では農業委員と農地利用最適化推進委員がペアを組み、70歳以上の認定農業者86人の自宅を訪問、今後の農業経営の意向について対面で聞き取り調査する活動に9月下旬から取り組み始めた。65歳から70歳未満の認定農業者57人には調査票を郵送で送付・回収する。高齢な担い手農業者の経営意向を調査することで地区担当委員との連携を強化し、農地利用集積や遊休農地の解消、人・農地プランの見直しに役立てていく。
中村義隆農業委員(会長職務代理、69)と西出光男推進委員(68)は9月20日、認定農業者の小森正市さん(70)を訪れ、今後の経営意向を聞き取った。中村さんと西出さんは南郷地区を担当、小森さんを皮切りに8人を調査する。
小森さんは妻の菊栄さん(64)と水稲6ヘクタールを栽培している。「一昨年に田植機、昨年はトラクターを買った。来年はコンバインを買うつもり」「規模も8ヘクタールまで増やしたい」と、小森さんの営農意欲は衰えていない。
小森さんの父は91歳まで現役だったことから、小森さんも90歳まで現役を続けるつもりだ。あと20年がんばれば41歳の息子が定年を迎えバトンタッチできる。「農業は楽しくやりたい」と言う小森さん。農閑期には奥さんと海外旅行する。
高齢な担い手が皆、現状維持か規模縮小を考えているわけではない。小森さんのようにさらなる規模拡大を志向する担い手もいる。調査結果がまとまれば、今後の農地利用集積や人・農地プランの見直しに活用していく。
同市農業委員会は昨年11月に新体制へ移行した。中村さん、西出さんのほか、大家法師農業委員(68)と前川政宏推進委員(64)が連携して遊休農地193平方メートルを再生し、障がい者の就労を支援する施設にあっせんするなど、新委員たちは新たな使命となった農地利用の最適化を実現するため地道な活動に取り組んでいる。
また、同委員会では従来、担い手に農業者年金への加入を呼びかけている。西出さんはこれまで5人、中山間地を担当する中村さんは1人を農業者年金に加入させた。
同委員会ではこうした委員たちの活動をPRするため、これまで発行してこなかった農業委員会だよりを新たに発行しようと準備を進めている。
写真上=小森さん(右)から農業経営の今後の意向を聞く西出さん(中央)と中村さん
写真下=遊休農地を再生して障がい者支援施設にあっせん、農作業の手順を施設職員に説明する大家さん(中央)