農委・推進委が橋渡し 新潟・十日町市農業委員会

就農希望者と所有者結び遊休農地2ヘクタール解消

 十日町市農業委員会(村山隆義会長)の古悟農業委員(60)と富井善一農地利用最適化推進委員(67)の2人は昨年度、担当する旧中里村・鷹羽地区で新規就農希望者と遊休農地所有者をマッチングし、遊休農地2ヘクタールを解消した。

 昨年7月、市内の銀杏(ぎんなん)の栽培を志す新規参入希望者が、まとまった農地で長期貸借が可能な農地を「全国農地ナビ」で検索したところ、2カ所の候補地を見つけ、農業委員会事務局に相談したことがきっかけだった。希望者は市内在住者だったが、候補地のある地区に居住していなかったため、農業委員・推進委員が土地所有者との間に入ることにした。「最初は疑心暗鬼だったが、希望者と面談し、考えを聞くうちに好感が持てた」(富井委員)と当時を振り返る。
 今回解消された鷹羽地区の遊休農地は、標高600メートルの山間地に位置し、かつては葉タバコなどが栽培されていた。所有者は5人で、そのうち2人は県外在住者。「親戚筋や同級生のつてをたどって相続人と連絡がとれたが、所有者からは突然の電話だったこともあり、何かの勧誘電話かと警戒されたようだ」(古委員)と苦労を語る。

 2カ月後の9月には貸借の合意を得た。早期の合意は農業委員・推進委員の活動の成果だった。再生には「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」を活用した。今年の11月には銀杏を植栽する予定だ。
 今年6月の農地パトロールで現地を確認した2人は「遊休農地を整地し、見事な農地に変わっていた。関わった委員として喜びを感じた」という。
 2人は8月8日に新潟県農業会議が開いた中越地域農業委員会研修会で取り組みを報告し、参加した他市町村の農業委員・推進委員は興味深く聞き入っていた。
 取材の最後に今後の農業委員会活動について聞くと「農業委員・推進委員でなければ実現しないことがある。前向きに取り組みたい」(古委員)「農地を活かし、農地を守り、農地を残していきたい」(富井委員)と委員としての使命感を語ってくれた。

写真説明=富井推進委員(左)と古農業委員