人材育成し最適化推進へ 徳島・石井町農業委員会

 徳島県の石井町農業委員会(矢部幸一会長)は2017年に新体制に移行し、農業委員14人と農地利用最適化推進委員5人を任命・委嘱。会長と元会長の推進委員が強力なタッグを組み、行政と現場の人材育成と新たな農地利用最適化に取り組んでいる。

 「農業委員会なくして、農地利用最適化はない。何もできなければ地元の町に申し訳がない。“岩本光雄は机上の空論ではない”という信念のもと、必ず実績を上げます」と語るのは、推進委員1期目の岩本光雄さん(75)。岩本さんは2011年に1期、農業委員会会長を務め、現在は情報会議座長として推進委員の中核を担っている。 
 情報会議とは、推進委員が月に1度集まる定例会。農業委員会業務必携を片手に、農業委員会制度の勉強会や遊休農地所有者の特定、担い手の情報交換などを行う。推進委員の資質向上を目的に、新体制移行の直後から開いている。
 同会議を通して、新体制移行から現在までに1ヘクタールの農地を担い手にあっせんするなど、実績も表れ始めている。
 「遊休農地のあっせんは非常に難しい。田植え後に農地を見て、植えていないところを注意している。放棄地になる前に早急に対処するのが肝心だ」と常に農地にアンテナを張り巡らせる。

 そんな岩本さんの活躍に、会長(2期目)の矢部幸一さん(66)も行政の立場から法令実務に専念できると言う。
 矢部会長はもともと同町農業委員会の事務局長を経験しており、委員会業務の専門家でもある。「農業委員と推進委員は行政と現場で役割を分けています。推進委員が現場で感じた意見を内部で反映させていく。そのためには事務局の育成も肝要です。担当は数年で変わるが、私が業務を引き継ぎ、うまく循環させています」と語る。
 そんな2人が構想する今後の活動は「農地利用相談会」で農地をあっせんする行政窓口を作ることだ。同町では特に貸し手よりも借り手が不足しているため、担い手発掘への期待が大きい。
 そこで、まずは合併前の旧町村の5カ所で同相談会を開き、広報は町や公民館で掲示。主に口コミで窓口の存在を広げていきたい考えだ。
 「気安い会合で、誰でも参加できる雰囲気ができれば結果はきっとついてくる。県外から視察が来るような優良事例になれば」と2人は声を合わせた。

写真上=推進委員が月に1度集まる情報会議

写真下=右から石井町農業委員会の鎌田祐輔主事、矢部会長、岩本推進委員、米澤庄司局長