農委会主体でプラン推進 農業者の危機感受け、町・JAと連携 秋田・羽後町農業委員会

 秋田県南部に位置する羽後町は、自然環境や豊かな土壌に恵まれ、県内でも有数の農業地帯。地域ブランド「うご牛」をはじめ、スイカ、ソバの産地として知られている。昨年、「平成30年産米の生産数量目標の廃止に伴うアンケート調査」を行ったところ、農業の将来に関して危機感を持つ農業者が多いことが判明。羽後町農業委員会(高橋信一会長)は、町農林課や管内JAと連携し、人・農地プランの推進に向けて、新たな活動に動きだす。

 水稲を主体とした土地利用型農業が中心の同町。農家人口の減少や高齢化、米の生産数量目標の配分の廃止など、10年後の農業経営に不安を抱く農家が増えたため、今年4月、人・農地プランを改訂した。
 プラン改訂のために実施したアンケートでは、将来の地域農業の姿について「問題が生じている」と回答した割合が8割を超えており、特に担い手の確保に危機感を持っている農業者が多かった。実際、新規就農者を中心に、花き園芸や畜産は若い農業者がいるものの、それ以外の作目では従事者の減少や高齢化が顕著であり、農業従事者の確保とともに規模拡大への対応が課題となっている。
 これまで、44地区でプランを作成していたが、農業従事者の減少で十分な担い手を確保できない地区も判明し、今回の見直しでは7地区に集約した。
 7地区で開いた座談会には、地区担当の農業委員と農地利用最適化推進委員も参加した。効率的な農地利用について理解を深めてもらうため、中心経営体に耕作状況を色分けした地図を提供し、圃場の集積、分散の状況を把握してもらうとともに、色付けされていない圃場について集積の意向などについて意見を交わした。
 橋会長は「座談会に参加することにより、地域農業の課題や農業者のニーズを知ることができた。今後、農地の出し手、受け手のマッチングをはじめとする農地利用最適化に努めていきたい」と語る。

 来年3月には、プランをフォローアップする「人・農地推進協議会」を設立する予定で現在準備を進めている。
 7地区に支部を置き、農業委員と推進委員が中心となって中心経営体の掘り起こしや農地の出し手と受け手をマッチングする。町農林課の渡部努参事は「アンケートでは見えてこない回答をどうやって引き出すかが重要。農業委員などが足で稼いだ情報をタイムリーにプラン推進に役立てることで、より実効性の高いプランとすることができる」と語る。
 農業従事者の確保が課題となる中、農地の交換分合やブロックローテーション、作物の団地化など、農地の効率的利用に向け、農業委員などのフォローアップがますます重要となっている。

写真上=座談会で説明する町農林課の渡部参事(奥の列、左から2人目)

写真下=中心経営体に提供した色分けされた農地地図