現場と研修の両輪で農地利用の最適化 奈良・桜井市農業委員会

 「三輪素麺(そうめん)」の特産地として有名な奈良県中部に位置する桜井市農業委員会(杉本義衛会長)では、農業委員と農地利用最適化推進委員の連携による現場活動と研修の相乗効果で農地利用の最適化を進めている。委員自らが農事組合法人などの先頭に立ち、地域農業の発展や耕作放棄地解消に取り組んでいる。

 同市農業委員会では、非農地判断調査、地域農業の将来に関するアンケート調査の実施、および耕作放棄地解消活動などに積極的に取り組んでいる。
 非農地判断調査については両委員が連携して農地パトロールを進め、中山間地域で山林・原野化した農地のうち、約200ヘクタールを非農地とした。
 地域農業の将来に関するアンケート調査の狙いは、農家の将来への考え方や意向を調査することで現状を把握し、課題を明らかにすること。市内の纒向地区の農家348世帯を対象に農業協同組合の各支部長の協力のもと調査を実施し、今後の「人・農地プラン」を考える足掛かりとした。
 現場活動では穴師地区で耕作放棄地を活用した収穫体験を実施。ここではボランティア団体「穴師の里 友遊会」(同農業委員会副会長・楠本芳照農業委員が代表)が協力し、6回目を迎えた今年はサツマイモの収穫体験を実施した。来場者は約200人に上る年もあった。

 研修活動では現場活動を共有するため「農地利用最適化推進研修会」を2018年1月に実施した。6事例中4事例は委員自らが報告した。
 その中で、大西地区では、後継者不足という危機感の共有から集落座談会を積み重ね、人・農地プランの作成に取り組むと共に、2016年には(農)大西営農を設立。43.8ヘクタールを経営するまでに至った。さらに小麦、水稲、大豆の輪作で最適化を進めている。
 芝地区では(農)芝土地利用組合による積極的な農業経営を展開しており、地区地権者との話し合いを進め、機構を活用した利用権を設定した。こうした活動に際し、今後、オペレーターの育成にどう取り組むかが大きな課題として議論された。
 当日はほぼ全委員が参加し、同僚の「生の声」を聞くことで情報が共有でき、農業委員・推進委員のさらなる連携が深まり、今後の活動に生かせる有意義な場となった。

写真上=耕作放棄地を利用した収穫体験

写真下=現場活動を共有するために実施した農地利用最適化推進研修会