総会終了後に情報交換会議 沖縄・糸満市農業委員会
糸満市農業委員会(国吉真昭会長)は、担い手への農地集積・集約化、遊休農地発生防止対策として、毎月の総会終了後に農業委員・農地利用最適化推進委員が担当地区ごとに、戸別訪問や農地パトロールで得た活動状況などの情報を共有する「情報交換会議」を開いている。
糸満市は沖縄本島の最南端に位置し、耕地面積1550ヘクタールで県内有数の農業地帯である。那覇市から12キロに位置し、都市近郊農業が盛んで、ゴーヤーやレタス、ニンジンなど県知事より拠点産地に認定されている。ただ、農家の高齢化や後継者不足で遊休農地が129.7ヘクタールに広がっている現状がある。
同市農業委員会は、2017年10月に新体制へ移行。農業委員12人、推進委員14人の計26人体制で市内を4地区に分け、5〜7人ずつ割り当てし現場活動を展開している。また、「農業委員・農地利用最適化推進委員の連携事項」を取り決め、▽総会への全員出席▽現地調査は農業委員と推進委員で実施▽農地利用の最適化の推進に係る情報交換会議の開催――など、農業委員・推進委員が密接に連携し、活動している。
情報交換会議では、▽農地中間管理機構への貸し付け目標(各班、半年で1件)の確認▽同市の農地中間管理機構事業担当の農地調整員から事業の制度説明▽活動記録用紙を基に活動の相互確認――など、情報共有の場になっている。
機構の農地調整員は各自で説明しやすいようにと、事業内容の説明資料を紙芝居形式で作成し、農業委員らに配布している。本年度に入り、農業委員らの活動により、農地中間管理事業に関する問い合わせが倍増。農地所有者の子供世代からの問い合わせも多い。
さらに、自治会や老人会などの地域住民、農業者の集まる場に積極的に参加し、農業委員会制度の周知や農業委員・推進委員の紹介、農地中間管理機構事業の説明および周知など、農地調整員と協力・連携している。高齢農地所有者からは「農地を貸したいもしくは売りたい」などの声があり、担い手への農地集積・集約化の促進につなげたいとしている。また、新規就農希望者も多く、機構を通じた借り受け希望者は年間約50人にものぼる。
これらの活動の結果、本年度は機構への借り受け・転貸の実績は約72アール、出し手2人、受け手2人と実績も表れ始めている。
山城信善事務局長は、「情報交換会議を通じ、相互の活動内容を理解し、担い手への農地集積・集約化につなげたい」と話す。また、国吉会長は「自治会や老人会の参加で実績が出てきているので、活動を続け、遊休農地解消に向け、さらに取り組んでいきたい」と語った。
写真上=農業委員と推進委員による農地パトロール
写真下=情報交換会議。各班が情報提供をしている