水稲メガファーム育成へ 強く後押し 茨城・稲敷市農業委員会
茨城県の稲敷市農業委員会(根本脩会長)は、農地集積を活動の重点に掲げ、県と連携しながら精力的に「茨城モデル水稲メガファーム育成事業」に取り組んでいる。県が創設したこの事業は規模拡大に意欲のある40ヘクタール程度の稲作農家を公募し、農地の集積・集約化とICT導入を支援するもの。3年間で100ヘクタール以上の稲作経営体を育成し、国に政策提案していく狙いがある。
県は5月と10月に2回公募をかけ、外部専門家による選考会を経て、規模拡大に意欲的な5人を選定。市内の稲作農家、山口貴広さん(35)を県内第1号として認定した。
事業の実施に当たり、県と市が協力し、事業実施予定地区として東地区(結佐地区・八千石地区・六角地区の一部)を設定。同事業を推進するため「メガファーム支援チーム」を設置し、同市農業委員会の事務局長も加わり、チームとして積極的に山口さんを支援することにしている。
事業推進予定エリアは水田で425ヘクタール、地権者は約300人に及ぶ。今回、同地区の担い手約100人を対象にアンケート調査を実施。調査票の回収を高めるため、根本会長は、地元地区農業委員・農地利用最適化推進委員と共に戸別訪問し、97%もの回収率を実現した。「回収率を上げるには、戸別訪問を行うことが重要。農家の意見を聞き、今後の意向を十分に把握することも大事」と根本会長は話す。
意向調査の結果、「担い手同士の交換分合などによる農地の団地化を進めてほしい」との要望もあり、エリア内の中央部に第1希望が集中。北部に空白が生じることが分かった。これらを基に、山口さんの耕作地をエリア内の北東部に集積させることを決定し、説明会で報告した。
説明会では「担い手への農地集積・団地化が必要不可欠」と呼びかけ、担い手からは「集積に当たっては、十分に調整をしてほしい」などの意見が出た。現在、具体的な農地の交換分合などに向けて地権者らと交渉を進めており、山口さんに対してはICT技術の導入や法人化、経営面などで支援し、メガファームの育成を後押しする方針だ。
山口さんは「現時点で50ヘクタール規模まで対応可能だが、100ヘクタールに対応した設備投資を考えている。今後は大型機械や先端技術を導入して、法人化を目指していきたい」と意欲的に話す。
根本会長は「今後とも農業委員会は、農家の意向をもとに担い手への農地集積を一層進め、規模拡大に向けて活動することが使命だ。また、JA・土地改良区とも連携しながら、3年間で100ヘクタール以上の達成を目指し、同事業の先駆けとしたい」と決意を示す。
写真上=左から2人目が根本会長、3人目が山口さん
写真下=地図を用いた今後の打ち合わせ