農地を活かし担い手を応援する 農業者年金への加入を推進 栃木 高根沢町農業委員会

 栃木県高根沢町農業委員会(鈴木悦夫会長)では、戸別訪問を中心とした着実な活動で農業者年金加入者を確保している。(独)農業者年金基金の「加入者累計13万人に向けた前期3カ年運動」における2013年度から2015年度までの新規加入者数は8人。2013年度と2015年度は単年度目標(3人)を達成した。同町農業委員会の取り組み事例を紹介する。

 同町農業委員会では2015年10月の総会終了後に農業委員を対象に加入推進研修会を開催した。事務局の木村麻衣子主任主事が講師となり、▽農業者年金の必要性▽メリット▽制度の歴史▽経営継承関係▽年金の算定方法――などのポイントを説明した。
 昨年度は農業委員の改選があり、新任農業委員が多かったため制度の中身を詳しく説明した。それを受けて、農業委員からは質問が多く出て、どんどん勧めた方がいいという声も上がった。
 木村さんは昨年8月、宇都宮市内で行われた県内の農業者年金関係者を対象にした加入推進特別研修会に参加した。その時の講師の農業者年金基金の中園良行理事長の説明を参考にしたという。
 新任の農業委員から加入推進の訪問履歴を出してほしいという要望に応えて、事務局で名簿を更新。年間農業従事日数が100日から150日の農業者をベースに、過去2回断られている人を除くなど手を加えた加入対象者リストを作成した。
 リストを基に地区担当の農業委員を割り当て、そこに補助員として他の農業委員が加わる形で推進体制を構築して、戸別訪問を行った。訪問の際には、推進用資材と制度PRパンフレット、通常加入と保険料補助のある政策支援の2パターンの年金額試算結果をセットにして、説明に取り組んだ。
 その後、詳しい話を聞きたいということになれば、事務局が再度訪問。その際対象者によっては保険料額を変えた3、4パターンほどの細かい試算表も用意して対応した。

 政策支援加入の区分3では、経営主と家族経営協定を締結していることが条件の一つであるため、昨年度夫妻で加入してくれた方に対しては、協定書の作成例も提示して説明した。
 同町では2014年度、女性農業委員や女性農業士が中心となり、協定締結者や認定農業者を対象に家族経営協定の研修会も開いた。参加者の締結当初から手つかずだった協定書の見直しなども実施した。
 広報活動は年2回の「たかねざわ農委情報」発行のうち1回は農業者年金PRの記事を載せている。
 今後の展望について、同町農業委員会事務局は「若い担い手が少なく、また専業が少ない状況で新たな対象者を見つけることは難しいが、新規就農の担当課とも連携して制度を地道にPRしていきたい」と話してくれた。

写真説明=左から野中照雄加入推進部長、鈴木悦夫会長、木村麻衣子主任主事