遊休化の前に集積 「農地情報みえる化プロジェクト」 神奈川・厚木市農業委員会

 厚木市農業委員会(堀池春夫会長)は神奈川県内でもいち早く農地情報公開システムに完全移行し、農地利用の最適化に取り組んでいる。このほど、遊休化する前の農地を担い手につなぐ新たな取り組みとして「農地情報みえる化プロジェクト」を立ち上げた。

 同委員会では作付けされていないものの草刈り、耕運がされている農地を「肥培管理農地」とし、農地利用状況調査によって把握に努めている。管理されていなかった遊休農地が農地利用最適化推進委員の現場活動で肥培管理農地に移行する一方、肥培管理農地の発生面積が再度作付けに至った農地の面積を上回っており、根本的な解決に結びつかないことが課題となっている。
 そこで、肥培管理農地の所有者の意向の情報収集と借り手への情報提供に努め、農地が遊休化する前に集積する「農地情報みえる化プロジェクト」を立ち上げた。
 農地情報の収集は推進委員による戸別訪問のほか、農業委員会だよりに意向調査票を印刷し、全市民を対象に8万部配布する。収集した情報は全国農地ナビや市のホームページに掲載するほか、厚木市農業協同組合の協力の下、農業者が多く訪れる支所窓口に貸し付け希望の意向がある農地の情報を掲示する。潜在的な借り受け希望者に広く周知することが狙いだ。
 掲示する農地情報は農地利用意向調査などの結果を元に随時更新していく予定で、同委員会と市、厚木市農業協同組合の3者で設置した厚木市都市農業支援センターが窓口となる。同センターでは農地の借り手と貸し手のマッチングや、農業者や就農希望者を対象とした相談業務などを行っている。
 昨年12月20日には厚木市農業協同組合相川支所で、同プロジェクトの第1号・第2号となる農地情報の掲示作業を行った。当日は農業委員会の堀池会長と小塩仁農業委員、池谷栄一推進委員、山健一推進委員のほか、同農協支所長、厚木市都市農業支援センター長、農業委員会事務局長らが出席。農業委員会事務局からプロジェクトの概要が説明されるとともに、委員が掲示用の紙や農地地図への情報の記入、掲示を行った。掲示された農地は2件とも翌日には借り受け希望者が見つかり、早速周知の効果が表れている。2件の農地は現在、利用権設定に向けて事務手続きが進められており、年度内には貸し付けされる予定だ。

写真上=相川支所で掲示用の紙や農地地図への情報を記入

写真下=実際の掲示。(左から)堀池会長、池谷推進委員、山推進委員、小塩農業委員