地域に寄りそう 顔が見える最適化推進活動 愛媛・伊方町農業委員会

 改正農業委員会法により、農業委員会組織が「農地利用の最適化」として、(1)担い手への農地の集積・集約化(2)遊休農地の発生防止・解消(3)新規参入の促進支援――に重点的に取り組むこととなり約3年がたつ。伊方町農業委員会(川田邦男会長、農業委員14人、農地利用最適化推進委員14人)では、農業委員・推進委員が、地域に寄りそった顔の見える最適化推進活動に取り組んでいる。

 四国最西端の佐田岬半島に位置する伊方町。半島の北側にあたる瀬戸内海側は、リアス式海岸独特の変化に富んだ景観を持ち、南側の宇和海側は、なだらかな白砂の連なる海岸が点在する岬と入り江の交錯した風光明媚(めいび)な景観を形成している中山間地帯だ。地形柄、平地が少なく、山頂から20度前後のスロープ状に開かれた急傾斜の段畑では、温州ミカンやイヨカン、清見タンゴールなどが栽培されている。
 この柑橘専作地帯で農地利用の最適化を進めていくためには、農地の出し手と受け手の把握が重要となるとして、同町農業委員会では戸別訪問による農地所有者等意向調査を実施。地区担当の農業委員と推進委員が足を運び、直接顔を合わせて聞き取りをしている。
 また、同調査を委員の年間業務として位置づけし、▽規模拡大や縮小の意向がある農家▽離農が予想される農家――に対しては、重点的に戸別訪問を実施している。「所有する農地をどう処分したいか」「どのような条件の農地を借りたいか」などを中心に詳細な情報を継続的に収集するようにしているほか、農地中間管理事業の概要や、遊休農地の課税強化などについても同時に説明している。
 何度も足を運び、顔の見える付き合いを実践したことで担当委員への信頼感も高まり、気軽に何でも相談できる環境が整ってきた。

 集まった情報は、農業委員会総会時に他地区の委員と共有することで、町全体で出し手と受け手のマッチングが実現するように取り組んでいる。併せて、次代を担う青年農業者に農地情報(樹木の種類・状況、道路からの距離、園内道・モノラック・スプリンクラーの有無など)を提供し、担い手への農地の集約につなげている。
 農業委員会の担当者は「今後も委員間や担い手、関係機関などと連携を深めながら、中山間地域の課題“点在する農地をいかに集約するか”に取り組んでいきます」と意欲を燃やす。

写真上=戸別訪問による聞き取り調査

写真下=集まった情報を共有する会議