意識共有で話し合い増 福島・大玉村農業委員会

 大玉村では、農業委員会(國分初男会長)と産業課が一体となって農地利用の最適化に取り組んでいる。

 同村の経営耕地面積は約1400ヘクタールで、うち水田の占める割合は80%を超える。水田の担い手への集積率は高いが、畑については手間がかかることから高齢化に伴い、その集積・集約が課題となっている。
 こうした中、毎年実施してきた農業委員会と認定農業者による意見交換会をきっかけに地域内での話し合いを活発化させようと動き出した。
 まずは地域の現状を洗い出すため、2017年の意見交換会からワークショップ形式を導入した。2017年は農地の集積・集約における課題、2018年は人・農地プランにおける課題をテーマに意見交換した。
 農業委員、農地利用最適化推進委員と認定農業者に加え、県農業普及所や農地中間管理機構などの関係者を交え、1班5〜6人のグループに分かれて付箋に意見を書き出すブレインストーミング方式で意見を引き出した。「地域では人・農地プランに対する理解が十分でない」「そもそも危機感が少ない」など、さまざまな課題が出されたが、特に多かったのは「地域で話し合う機会が少ない」だった。
 同村の人・農地プランは三つある。うち二つは集落単位のプランだが、もう一つは村全体を包括したもので、話し合いの機会はなかなか作れない状況だった。
 人・農地プランを所管する村産業課の渡辺良雄農政係長は「プランの細分化が必要だが、集落単位や行政区単位など画一的な区分は実態に合わない。地域それぞれの特性に合わせたエリア分けが重要」と話す。

 一方、ワークショップによる意見交換は思わぬ効果も生みだした。参加した認定農業者や農業委員が、自主的に地元集落での話し合いを進める動きが出てきたのだ。
 農業委員会事務局の田辺将裕農地係長は「地域での話し合いを推進する農業委員や推進委員だけでなく、地域の担い手となる認定農業者とともに意識を共有したことが、地域で話し合う機会の醸成につながったと思う」と話している。
 福島県農業会議では、人・農地プランを補完する「集落話し合い運動」を推進している。それぞれの集落で農業委員・推進委員主導のもと話し合いを進めるもの。
 渡辺係長は「目標が見えてくると、それに進むための話し合いも生まれる。まずは話し合いの場づくりから始めるべき」とし、農業委員会と産業課が連携してこの運動を軸に話し合いを進めることとした。
 今後は地域のリーダーを中心とし、リーダーがいない場合は農業委員・推進委員がそれを担い、話し合いを進めていく。それぞれの地域で課題の共有と目標の設定ができたら、人・農地プランの改定に向けた検討に移る。話し合いの熟度に応じてプランの細分化を図る考えだ。

写真上=11月19日に開催した農業委員会と認定農業者の意見交換会では各グループとも積極的な意見が出され、議論を深めた

写真下=参加者が付箋に意見を書き出すブレインストーミング方式。さまざまな課題が浮き彫りになった