農地パトに航空写真活用 戸別訪問で市補助金PR 山梨・笛吹市農業委員会

 山梨県東部に位置する笛吹市。桃、ブドウを中心とした果樹地帯であり、生産量は全国でもトップクラスを誇る。今回は、この果樹地帯を支える笛吹市農業委員会(赤岡勝廣会長)の利用状況調査の課題解決や農地の借り入れを支援する補助金制度について紹介する。

 同委員会は、2017年に新体制へ移行。現在は、農業委員19人、農地利用最適化推進委員25人、合計44人で活動している。活動の基本となる利用状況調査については、推進委員が中心となり、担当地区の農業委員から助言を受けながら農地の耕作状況について調査している。
 利用状況調査で課題となっているのは、地図と現地の相違。調査の際に推進委員が持参する地図は、最新の図面に更新されるまで時間を要する。そのため、農地周辺の状況や田畑の分かれ目などを地図で確認することが難しく、最新のものが必要になる。
 現在は、事務局が他部局と連携して新しい航空写真を用意。各委員が窓口に訪れた際に航空写真を提示し、委員と事務局が連携を取りながら利用状況調査の課題解決に努めている。
 利用意向調査については事務局が担当。調査結果を集計すると、「農地中間管理事業を利用する」「自ら耕作する」という回答が大半を占めるという。

 同市では「農地流動化奨励補助金」という遊休農地解消を図るための制度がある。農地の借受者、または取得者が一定の要件を満たすと、借り受け面積に応じて補助金が支払われる。
 交付対象者は認定農業者、市内の耕地面積が60アール以上の農業従事者、農地所有適格法人など。これらの対象者が、農地を借りる際に、利用権の設定を結び、5年以上耕作を続けることが交付条件となっている。 交付金額は10アール当たり2万円が基本。さらに、遊休荒廃農地(過去2年以上作物を栽培してない荒地)については、遊休農地解消を促すという観点から10アール当たり10万円が加算される。
 農業委員会もこの制度の推進に協力。戸別訪問の際などにパンフレットを配布したり、借り受け希望者が窓口へ訪れた際に、交付金額を案内するなど、積極的に活用を促している。
 同委員会の担当者は「こういった補助金制度があると、借り手へ荒廃農地を勧めるチャンスとなります。補助金を活用して、遊休農地の再生から耕作まで頑張ってほしい」と話す。

写真上=利用状況調査で荒廃状況などを最新の地図で確認する赤岡会長(左端)と小田切豊明推進委員(右端)、事務局職員

写真下=荒廃状況を加味して再生方法などを探る笛吹市農業委員会