農地を活かし担い手を応援する 区画整理で省力・効率化 静岡 牧之原市農業委員会

 静岡県牧之原市大寄口原地区の茶園は、小区画・不整形で、道路にも接続していない圃場が多い。効率が悪いうえ、営農に支障をきたし遊休農地が増えてきたため、農業基盤整備促進事業で、圃場の区画整理を実施し、農作業の省力化と効率化を図った。

 この事業のきっかけとなったのは、2012年8月に当時の地区農業委員の山崎憲司さんと横山夏日子(よこやま・なつひこ)さんが中心となり、同地区内の地権者34人全員に意向調査を行ったことだ。
 横山さんは、同市農業委員会総会の場で同地区の茶園に対する自分の思いを伝えた。「遊休農地が増えてきたため、この地区をどうにかしたかった」と当時を振り返る。
 意向調査の結果は、茶価が年々下がり後継者も少なくなってきていることから、小区画・不整形地のみを手放したい人、耕作の意思がない人、耕作の意思はないが茶園は手放したくない人などさまざま。地権者の意見はなかなかまとまらず、何回かの検討会を経て地権者34人のうち6人が耕作をすることとなり、同市の担当部署と事業計画を立て、2014年3月に「基盤整備組合」を立ち上げた。
 2015年7月から12月に茶園区画整理工事を行い、2016年2月には、農業経営基盤強化促進法による従前地の売買を行い、34人の地権者で点在していた茶園を、最終的には担い手3人に農地利用集積した。
 市内でも農業者の高齢化や茶価の低迷により、傾斜地や条件不利地では著しく遊休農地が増えている。
 同市農業委員会の原間正之会長は「ここの地区のように区画が狭くて道もない小規模茶園では、他の人の茶の畝を通って自分の畑に行くことしかできない。乗用型機械も入らず、作業負担が大きいので、採算性も合わず、そこから荒れてくる。今は時代が変わり、1団地に連たんで50アールから1ヘクタールほどの規模の農地が必要だ」と語る。
 「将来、やる気のある後継者たちにつないでいくためにも集積を伴う基盤整備を行っていくことが重要だ。農業委員会としても今回のように市内の集落の茶園・農地を守りたいという思いをくみ上げ、農地の集積を進めるとともに、魅力ある農業の基盤づくりのためのサポートをしていきたい」と今後も基盤整備に伴う農地利用集積に意欲的だ。

写真説明=原間会長(左)と横山委員

図説明=(上)公図と(下)計画図。52筆あった圃場(公図)を、4筆にまとめた(計画図)