集落の垣根越え連携へ 農委・推進委が話し合いリード 鳥取・智頭町農業委員会

鳥取県東南部に位置する智頭町は、面積の93%が山林で、古くから「杉の町」として林業で栄えてきた。一方、農業は水田経営が中心で、国の転作政策、農業の担い手不足、高齢化などで年々耕作放棄地が増加している。2017年7月に新体制となった智頭町農業委員会(小林功会長)では、町、JA、県などと連携して「自分たちの集落の将来を自分たちで考えていこう」と目標を定め、まずは集落での話し合いを進めるため農業委員、農地利用最適化推進委員が一体となって活動に取り組んでいる。
昨年10月に、人・農地問題の解決に向けた糸口を探ることを目的に全農家1343世帯を対象にしたアンケート調査を町、農業委員会、JAなどが連携して実施した。約7割の農家から回答があり、7割が「後継者のめどがたっていない」、3割近くが「近い将来やめたい」「今後も耕作しない」など厳しい現状も判明したが、やる気をもって農業に取り組みたい人の存在も把握できた。
農業委員会は、このアンケート結果を踏まえて、集落での話し合いのきっかけづくりとすべく集落座談会を開くことにした。
まずは、これまで推進委員が中心になって取り組んできた「中山間地域等直接支払制度」の広域組織(6集落)をターゲットに、農業委員会、町、県、JA、農地中間管理機構で組織する「人・農地問題解決に向けた推進チーム会議」の支援を受けて順次開いた。
まず、各集落内の農業用機械のリストを作成するとともに、今後の担い手を明確にし、人と機械の資産の棚卸しをしてみることにした。また、担い手の明確化、遊休農地の発生防止策、一人一人の役割分担など、各集落で今後の農業の方向性を話し合い、その結果を「人・農地プラン」に取りまとめることにした。
今後も集落代表者での話し合いを進め、集落の垣根を越えた連携・協力体制を模索していくこととしており、町のモデル的な取り組みとして期待されている。
小林会長は、「農業委員会として大切なことは、農家の生の声を引き出すことであり、町内の集落全てで話し合いが行われるように、今後も引き続き農業委員、推進委員が一丸となって取り組んでいきたい」と熱く話している。
写真上=農業委員会が集落座談会を開催。地域の話し合いをリードしている(集落での話し合い)
写真中=集落代表者の話し合い
写真下=小林会長