農地を活かし担い手を応援 農地・担い手の経営状況を把握 愛媛県 伊方町農業委員会

 愛媛県伊方町農業委員会(川田邦男会長、農業委員20人)では、地域の農用地利用調整推進員と協働で遊休農地が拡大しないよう農地パトロールに力を入れるとともに、町やJAとともに設立した伊方町農業支援センターと連携して農業者への支援に取り組んでいる。

 伊方町は四国最西端の佐田岬半島に位置する中山間地帯。ミカンをはじめとした柑橘類の生産が盛んで、にしうわミカンのブランドを確立している。耕作地の98%を樹園地が占めており、そのほとんどが段畑で形成されているなど、耕作条件が不利な地域性を備えている。そのため、農業従事者の高齢化に伴い農地の遊休農地化、荒廃化が優良園地にまで進行しようとしている現状がある。
 伊方町農業委員会では、町内全域の農地(2900ヘクタール)を三つに区分し、8月〜11月に重点的に農地パトロールを実施している。1地区ごとに担当する農業委員を定め、22人の農用地利用調整推進員(いわゆる農業委員会協力員)と連携して農地の利用状況を確認。その際には、再生可能な遊休農地がないか詳細に調査を行い、優良農地が減少しないよう目を光らせている。
 また、町やJAが事務局を務める組織活動も盛んで、青年農業者や認定農業者などの地域の担い手となる意欲的な農業者らとの繋がりも深い。農業委員会の三好正弘事務局長は「農業支援センターでは、農業委員会が農地パトロールで確認した農地状況や所有者の貸し付けの意向、そしてJAや町が把握している地域の受け皿となる担い手の経営状況など両方の情報を保有している。情報を一元的に扱うことで、農地の貸し手と借り手のマッチングに大いに役立ち、これまでにも両者を適切に結びつけることができた」と話す。事実、支援センターが間に入ることで耕作放棄地にならなかったであろう園地は18筆(2.7ヘクタール)にもなる。
 支援センターでは年2回発刊している広報誌「伊方町農業支援センターだより」に、遊休農地の解消策として地域特産物の推進を掲載するほか、人・農地プランや農地中間管理事業をアピールすることで10年後の農地を誰が守っていくのかを農業者に投げかけた。他にもイノシシの捕獲実績、防護柵設置時の注意点、農作業支援のお知らせ、新規就農者の紹介といった地域に根ざした情報を発信している。
 農業委員会は、今後とも関係機関と連携を図りながら、担い手への農地の集積をはじめとした各種支援を実施していく方針だ。

写真上=農地の利用状況を確認する川田会長(中央)と三好事務局長(右)

写真中=年に2回発行される「伊方町農業支援センターだより」

写真下=町・農業委員会・JAが一体となって活動する支援センターのメンバー