全員で役割分担し効率化 6班体制で農地パトロール実施 兵庫・丹波篠山市農業委員会

「丹波篠山の農地と景観を守りたい」と語る井貝さん         

 今年5月に篠山市から市名変更した丹波篠山市では、毎月、小学校区別に6班に分かれ、各班の農業委員と農地利用最適化推進委員が農地パトロールを実施している。多紀地区の担当委員らが始めた活動を、農業委員会全体の活動として全域に広めた。

 パトロールで遊休農地があると、荒廃の程度や所在地をリストにして各班で共有するとともに、農会や自治会に提供する。集落の農地の今後のあり方について検討してもらい、遊休農地の解消につなげることを目指す。
 西紀(にしき)地区で推進委員を務める井貝敏夫さん(65)も、1人でやる農地パトロールだと、地図を見ながら、状況を確認し、情報整理するという一連の作業全てを1人で行わなければならず、大変であり限界を感じていた。
 農業委員と推進委員が複数で巡回するようになってからは、メンバー全員で地図などを確認し、農地の状況を記録する人、現場の写真を撮る人など役割分担し、情報共有している。作業が正確で手早くこなせるようになり、1日で巡回できる面積が増えたという。
 「以前は推進委員の活動が分かりにくいという思いがあったが、パトロール中に制服を着るなど活動の『見える化』によって自分の住む地域以外の人にも知ってもらうことができ、人のつながりもできた」と井貝さんは話す。
ただ、複数でパトロールしても1日に50~100筆確認するのが限界。地域はサル、イノシシやシカなどの獣害に悩まされ、中山間地では特に遊休農地が増えつつある。山際では、パトロール中に獣害対策の柵が行く手を阻む事も少なくないという。
 「守るべき農地と非農地を明確にし、丹波の小京都と呼ばれる風情漂う町並みや黒大豆に代表される農産物の生産が末永く続けられるよう取り組んでいきたい」と話している。