プラン実質化へワークショップ 広島・三次市農業委員会

 三次市農業委員会(橋本洋資会長、農業委員19人、農地利用最適化推進委員29人)は、人・農地プランの実質化に向けた話し合い活動に委員が参加して、農地利用の最適化を進める方向に先導していく意識を高めようと、ワークショップ形式の研修会を開催した。

立ち上がり議論する委員の皆さん
吉舎・甲奴グループの発表をする田村弘文農業委員                   
吉舎・甲奴グループの結果


 当日は、5グループに分かれ、担当地域の農家・農地・担い手の状況などの課題を抽出して、解決策を模索した。研修会の目的を委員に熟考してもらうために、全国農業図書ブックレット「未来の担い手を確保するために」を1カ月前に配布して理解を深めた。
 同市は平場が少なく中山間地域がほとんど。認定農業者128経営体、認定新規就農者9経営体、集落営農法人35法人が担い手として位置づけられている。
 農林業センサスで見ると、2005年から2015年までの10年間で、総農家数は28%減の4291戸、販売農家は36%減の2971戸、農業就業人口は46%減の3585人と大幅に減少している。経営耕地面積は10%減の4323ヘクタール、耕作放棄地面積は35%増の647ヘクタールと農地の荒廃化もかなり進んだ。
 従事者は平均年齢71.7歳、経営規模別では3ヘクタール未満は95%、また1ヘクタール未満が65%を占めており、小規模で高齢化が進んでいる。
 こうした状況の中、昨年度に75歳以上の農家へ貸し付け意向調査を実施し、57農家、241筆3076.6アールの貸し付け意向を確認している。
 研修会のワークショップでの各グループから出た共通の課題は、「集落法人などの担い手の高齢化」「シカやイノシシなどの鳥獣被害の深刻化」「面積が狭小なのに畦畔が大きいなど中山間農地の現状が担い手の希望する条件と合わない」「できなくなってから考える高齢農家がほとんど」「借り手いない農地の管理が困難」などがあげられた。
 また、こうした課題への解決策として「地域・集落で守るべき農地と農地以外の利用を考える農地の区分化を進める」「畦畔や防護柵の管理を担い手と集落で役割分担する」「多面的機能支払交付金や中山間地域等直接支払交付金の拡充を求める」「耕作の条件が悪く、借り手がいない農地の非農地化を進める」などの意見が出された。
 橋本会長は、「今回のワークショップ形式の研修や議論の中で出された意見や解決策を活かし、プランづくりの話し合いのサポート役として、それぞれの地域で活躍してほしい」と期待している。