意向調査もとに最適化推進 長崎・平戸市農業委員会

同委員会の定例総会。総会後には農地利用の最適化についても話し合われる        

 平戸市は、九州の北西部、長崎県の北西端に位置し、平戸島、生月島、大島、度島、高島の有人島および九州本土北西部の沿岸部に位置する田平と周辺の島々で構成されている。水稲、肉用牛、アスパラガス、イチゴ、バレイショ、葉タバコなどを基幹作物とした複合経営で、第2種兼業農家が大半を占めている。農業販売額は総額50億4千万円で、うち18億6千万円を肉用牛販売が占めるなど畜産業が盛んだ。


 平戸市農業委員会(丸田保会長)は、2018年3月に新体制に移行し、農業委員19人、農地利用最適化推進委員18人で農地利用の最適化に取り組んでいる。
 農地利用の最適化に向けて今年3月、農地台帳上で3千平方メートル以上の農業経営体を調査対象と位置づけ、1636戸に対し利用集積や遊休農地活用の意向についてのアンケート調査を実施した。7月現在の回収率は3割程度のため、再度の回答依頼を行うことなどを検討している。担当者は「アンケート調査に基づき農地の利用集積活動に取り組まなければならないので、回収率の向上に向け工夫していきたい」と語る。
 また、市農林課でも4月以降に11地区で開催している農地中間管理事業推進協議会総会の席で同アンケートを行っている。
 集計は農業委員会で行っており、市農林課ではこの結果を元に地図情報化し人・農地プランの実質化に向けた集落での話し合いに活用する予定だ。今後、市農林課では同委員会と連携して3千平方メートル未満の農地所有者や土地持ち非農家にもアンケートを実施することを検討している。


 同委員会では、市内全域の農地の利用状況を把握するため、毎年6月から9月にかけて農地パトロールを実施している。パトロールに先立って5月頃に発行する「農委だより」(年間2回発行)で農地の適正管理の徹底と委員会活動の周知を図っている。市内の全農家に配布するなど毎年の周知活動が功を奏して、ここ数年は所有者自身による解消が多くなってきている。
 昨年度は、解消目標9ヘクタールに対して、耕作再開や保全管理などで15.7ヘクタールが解消された。今後も遊休農地を減らしていこうと意気込んでいる。


 農地の非農地判断・通知についても計画的に実施しており、2015年度以降約385ヘクタールに非農地通知を発出してきた。
 2018年度からは、法務局の要請に基づき非農地通知を発出する土地所有者を対象に、法務局と合同で地区別説明会を開催することになった。非農地通知の意義や内容を説明するとともに、法務局から地目変更手続きの流れなどについて説明してもらい、非農地通知書発出後の手続きについても周知を図っている。
 同委員会では、今後も優良農地の確保に努めつつ、農地パトロールで活かすべき農地を明確にしていく活動を進めていくこととしている。