認定農業者と意見交換会 富山・入善町農業委員会

意見交換会

 県東部の入善町は、北アルプスから奔流する黒部川によって形成された扇状地に位置しており、水稲や大豆をはじめチューリップや入善ジャンボ西瓜など、農業が盛んな地域である。入善町農業委員会(鍋嶋太郎会長)では、意見交換会を起点に農地の集積・集約化を進めようとしている。


 同町の農地集積率は78.0%(2019年3月末時点)と高いが、農業機械が進入できない極小地や鳥獣被害が多い農地などの集積率は低い。
 高い集積率の一方で、分散錯圃を解消するため利用権の交換が望ましい場合でも、所有者から理解を得るのが難しい農地の集約は進んでいない状況だ。加えて、基盤整備事業から40年以上経過して改修が必要な水路が増え、農業者の高齢化や農業機械の老朽化と経営の継続に課題が多い。
 担い手による話し合いの機会が少ない地区が多く、地区によって集積・集約の進捗にバラつきがあった。そこで、鍋嶋会長の発案で2017年度から農地の集積・集約を主題とする「認定農業者と農業委員会との意見交換会」を開催している。
 昨年度は認定農業者と農業委員のほか、JAの営農指導員や各地区の生産組合長など計65人が参加した。
 県による集積・集約の現状と今後に関する説明の後、町内10地区ごとに班編制し、地区担当の農業委員による進行の下、農地利用の最適化の推進と地域農業の振興をテーマに意見交換を行った。認定農業者がそれぞれ、経営の現状や課題、それに対する解決の方向性を書き出し、耕作者ごとに色分けした農地地図を囲んで話し合った。
 多くの地区に共通する課題は、農業者の高齢化や後継者不足、水路の老朽化であった。

 意見交換会の実施後、利用権の交換により町内で22筆が集約化された。
 ある地区では、水路の老朽化により安定した水管理ができず、農作業に支障をきたしていたが、これを改善するための経費が助成される県営事業の活用を決めた。
 本年度は水路の測量・設計を行い、来年度から工事に取り掛かる予定だ。将来的には集落営農組合を設立し、農地を集積・集約化する計画だという。
 今後について鍋嶋会長は「町全体での意見交換会は予行演習であり、ここでの経験を活かして、今後は各地区で意見交換会を行うようにしたい」と語り、事務局も「意見交換会の回数を増やし、利用権が動き始める秋以降の開催を検討している」と話している。