話し合い活動に力 岩手・滝沢市農業委員会

農地利用図を用いた話し合い

 滝沢市農業委員会(齊藤新一会長)は、2017年7月に農業委員9人、農地利用最適化推進委員11人による新体制に移行し、担い手への農地の集積・集約化と新規参入に重点を置いて活動している。特に担い手への農地の集積・集約化では、地区を選定し、農地利用図を活用した話し合い活動を行っている。

 同委員会では、4班体制で最適化活動を行っており、班ごとに活動を振り返りながら、活動目標およびスケジュール表を作成して次の活動に活かしている。この活動の振り返りの中で「地域での話し合い」が重点活動目標として挙げられ、班ごとに地区を選定し、農地利用図を活用して人・農地プランの話し合い活動を行っている。
 毎年、農地台帳の記録事項調査を実施し、世帯の状況、農地の利用状況、今後の営農意向などについて確認。その情報を基に地図を作成している。話し合いに用いる地図には、農地の面積、所有者・耕作者の氏名、所有者の意向、遊休農地の判定結果など、話し合いの目標を達成するために必要な情報を落とし込んでいる。
 話し合いでは、数地区合同で中心経営体の出入り作の現状を把握することを目的としたり、人・農地プランの地区に特化して利用状況と地域課題の認識を目的に出し手を中心に行うなど、地域の実態に合わせて工夫している。

 2018年度に実施した人・農地プランの地区に特化した話し合いでは、農家組合の協力を得て日程を調整し計3回の話し合いを行った。1回目の話し合いでは地域の農地利用の状況を理解してもらった上で、2回目には、貸したい、売りたいの意向を受け手に地図で示しながら、受けられるかどうかを検討してもらうなど、マッチングを行った。3回目の話し合いでは、農地中間管理事業を活用した利用権設定を行い、1.9ヘクタールの集積を実現した。
 話し合いに参加した出し手からは「自作希望の小規模農地が多いことがわかり今後が心配」「10年後は耕作できないとは言いだしにくい」、受け手からは「他者の貸借意向を勝手に色塗りできないので、一人でも多くの参加を得る必要がある」「継続した話し合いが必要」との声があり、進め方について課題が明確になった。
 齊藤会長は「新規就農者の受け入れも含め、担い手を応援していく。班ごとの活動目標が確実に実行されるよう、今後はタブレットを利用した話し合いの場を持つことにしている。委員による農作業受託グループ活動も開始されており、地域と一体となって活動していきたい」と意欲的だ。