農地を活かし担い手を応援する 農地相談員が現地確認 広島・神石高原町農業委員会

 広島県の神石高原町農業委員会(佐伯知省会長、農業委員27人)では、農地パトロールによる利用状況把握と、農地相談員による現地確認で守るべき農地の絞り込みに重点を置いた活動を行っている。

 神石高原町は県中東部の典型的な中山間地域に位置し、2004年に神石郡内3町1村が合併して誕生。県内一の夏秋トマトの産地で、高冷地の寒暖差を生かしたブドウ(ピオーネ)、伝統ある和牛経営の再構築を目標とするプロジェクトを推進している。
 新たな農業委員会制度の施行を受けて、同町農業委員会では4月から元農業委員会事務局長の守多三郎氏(61)を農地相談員に委嘱し、農地利用の最適化指導を行っている。
 1年目は特に、遊休農地再生の指導と併せ、再生困難な農地の非農地化に向けた確認作業を進めている。
 昨年の農地パトロールで把握した「再生可能農地193ヘクタール」の農地所有者など929戸に意向調査を行った。この結果は、農地台帳システムと航空写真を取り込んだ電子地図にも反映。現地確認にタブレット端末を持ち歩き、地図ではわかりにくい場所が一目で特定できるなど、確認作業の効率化に役立てている。
 農地パトロールは、地区担当農業委員2人体制で行っている。荒廃状況の判断に差を生じさせず、適正な仕分けをするため、守多相談員は再生困難(B分類)と判断された農地の確認に各地区に出掛けている。同時に意向調査で「自ら耕作する」と回答のあった農地の再生指導に向けた現状確認も行っている。
 再生不可能と判定した土地については、農業委員会総会で審議の上、所有者への非農地通知と、同意確認を行い、速やかな地目変更登記の手続きについて指導も行う。
 来年からの遊休農地の固定資産税率引き上げに伴い、現状把握の徹底が求められることから、現在、町補正予算で合併前の旧町村ごとに地元に精通した役場OBなどの協力員の委嘱を検討している。
 松本信典事務局長は「体制強化に向けて町の理解も得られ、新体制に移行する12月に併せて農業委員・推進委員活動の効率化を図るための対策を講じておきたい」と話す。
 同農業委員会では、適正な非農地判定を行い、将来のための守るべき農地を絞り込み、担い手への利用集積を図るため、農業委員・推進委員による農地パトロール活動をバックアップする事務局体制の整備を進めている。

写真上=地図とPCで現場の事前確認をする守多さん(右)と、松本事務局長

写真中=現地確認する守多さん(手前)と松本事務局長

写真下=農地情報が入ったPCと地図